富田隆弥の【CHART CLUB】 「高値警戒、小まめに対応」

市況
2018年1月13日 10時00分

NYダウ平均株価の上昇が止まらない。止まらないどころか上昇ピッチを加速させている。11日現在、NYダウ(2万5574ドル)は年初から7日間で855ドル(3.45%)上げ、ナスダック(7211ポイント)も同様に308ポイント(4.46%)上げている。好景気、好業績、さらに減税効果と緩やかな利上げ観測などで、米国市場には「適温相場が続く」と楽観が広まっている。そして、年初から投資マネーも流入している。

◆堅調相場の背景にはいろいろあるが、チャート的には「警戒信号」を発しており、それを無視するわけにはいかない。NYダウは日足、週足、月足とも「ホップ、ステップ、ジャンプ」と波動が三段上げとなり、RCIなどテクニカル指標の過熱警戒が続き、仕上げ局面に差し掛かっていることを示唆する。

◆さて、日経平均株価は発会から3日間で1085円(4.76%)も上げた。さすがに10日、11日と一服入れたが、2日間で約140円の下落は「ほどよいスピード調整」であり、もう一段の上値追いは可能だろう。日足チャートは三角保ち合いを上放れており、節分天井、2万5000円を目指してもおかしくない。

◆ただ、ここにきて為替(ドル円)が111円近辺まで円高となり、長期金利は0.080%(10日)と上昇している。どちらの上昇も株価には大敵だ。日銀が「超金融緩和政策を終わらせる」との憶測から動きだしたものだが、黒田総裁は現状維持を謳っており、そう簡単に「出口論」は認めないだろう。とはいえ、米国が利上げに動き、欧州が量的緩和終了を宣言、そうなれば当然、次は日本となる。今年は日銀の金融政策「出口論」が課題の一つでもある。

◆快調に最高値を更新するNYダウ、そして世界同時株高で始まった新年相場。さらに原油(WTI)などコモディティ市場も上昇し、あらゆる市場で「買い人気が偏っている」ことは無視できない。そこには投機マネーも多く流入しており、基調が危うくなれば投機マネーは一斉に引き揚げ、ヒヤリとする調整につながるだろう。

◆カネ余りを背景とする需給相場であるから「流れに従う」のが基本ではあるが、新春から「でき過ぎ、やり過ぎ」の様は気掛かりだ。ここからは利食いを挟みながら小まめに売買を繰り返していくこともポイントになろう。

(1月12日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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