来週の相場で注目すべき3つのポイント:米金融決算、中国GDP、米暫定予算期限切れ
■株式相場見通し
予想レンジ:上限24000-下限23500円
来週は基本的にはこう着感の強い相場展開が続きそうであり、決算を手掛かりとした個別物色の流れが次第に強まってくると考えられる。米国では12日のJPモルガン・チェースの決算は、税制改革を受け、利益に一時的なマイナスの影響が出たものの、新税制によって2018年の利益が大きく膨らむとの見方を示し、NYダウを押し上げる格好となった。今週はシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレーが決算を発表する。米金融機関の決算が金融セクターへの物色に波及する展開が期待されるところ。
また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表されるほか、中国では10-12月GDPが発表される。先週発表された中国の2017年の貿易総額は前年比11.4%増の4兆1045億ドル(約457兆円)となり、3年ぶりに前年水準を上回っている。GDPでは李首相が先週、2017年通年で6.9%前後になったもようだと発言している。成長の鈍化が続いていた中国のGDPは、7年ぶりに加速に転じたことになる。世界的な景況感の改善が先高観をより強めてくるかが注目されよう。
一方で神経質な面もみられる。先週、日銀が買い入れた長期債は予想の2000億円に対して、1900億円だった。この発表を受けた市場は、日銀がテーパリング(資産買い入れの段階的縮小)に着手したと受け止めたのだ。この余波が世界的な国債利回りの上昇につながり、為替市場ではドル円が1ドル111円台を下回る円高に振れる局面がみられている。政策が変化したという訳ではないが、世界の中銀の金融政策の正常化に向けた兆しを探るなか、ささいな兆候にも即座に反応する状況であろう。長期金利の動向やこれを受けた為替市場に、株式市場も影響を受けることになりそうだ。
先週の日経平均は調整となったが、大発会の急騰に対する反動といったレベルである。小幅な調整ではあるが、一部のテクニカルシグナルでは過熱感が和らぐ格好であり、心理的には23500-24000円処でのもち合いレンジが意識されよう。米国では金融機関の決算のほか、16日にはアルニウム生産最大手のアルコアの決算が予定されている。翌週にはキャタピラーやハイテク企業の決算が控えており、金融セクターや中国関連への物色から広がりが意識されそうである。
その他、日経平均の高値もち合いが継続するなか、個人主体の資金はマザーズやJASDAQといった新興市場にシフトしやすい面もある。次世代電池や働き方改革、省力化投資、仮想通貨といったテーマ株物色も引き続き健在である。押し目買い意欲の強さも窺える中、好循環物色が続こう。なお、19日に米暫定予算期限切れとなるため、やや波乱も警戒しておく必要がありそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は弱含みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は今年3回の利上げを行うと予想されているが、欧州中央銀行(ECB)や日本銀行などの他の主要中央銀行による金融緩和策縮小や利上げへの思惑が台頭しており、ドルはユーロなどの他の主要通貨に対してやや下落する可能性がありそうだ。
11日に公表されたECB理事会の議事要旨(昨年12月14日開催分)では、2018年は「ガイダンスの段階的な変更を検討する可能性」が示されており、現行の緩和的な政策を修正するとの観測が広がっている。日本銀行による「異次元金融緩和」の継続に関しても懐疑的な見方が出始めており、量的緩和策の長期継続を想定した円売りは縮小していく可能性がある。英中央銀行や豪準備銀行(中央銀行)による早期利上げ期待もあり、各国の主要経済指標が堅調だった場合、金融緩和縮小を想定して、主要通貨に対するドル売りが次第に強まりそうだ。
■来週の注目スケジュール
1月15日(月):地域経済報告、欧貿易収支、キング牧師生誕記念日など
1月16日(火):訪日外国人客数、英消費者物価コア指数、NY連銀製造業景気指数など
1月17日(水):機械受注、米鉱工業生産指数、米地区連銀経済報告など
1月18日(木):豪失業率、中10-12月GDP、米住宅着工件数など
1月19日(金):百貨店売上高、英小売売上高指数、米暫定予算期限切れなど
《TM》
提供:フィスコ