来週の相場で注目すべき3つのポイント:決算発表本格化、黒田総裁会見、通常国会召集

市況
2018年1月20日 22時24分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限24000-下限23500円

来週は国内でも決算発表が本格化する。安川電<6506>、ファナック<6954>、信越化<4063>などの決算結果が日経平均の方向性も左右させてくる可能性がある。トップバッターとなる安川電は、省力化や設備投資関連として強いトレンドが続いていることもあり、決算発表が材料出尽くしとなるようだと、その後の決算発表に対して慎重姿勢に向かう流れになりやすいだろう。足元で調整基調にあるファナックの決算を見極めたいとの模様眺めムードが強まるようだと、週を通じて方向感の出難い相場展開になりそうである。

先週は仮想通貨の下落が話題になるなど、大きな価格変動に敏感になっている。仮想通貨の荒い値動きが新興市場の中小型株へも心理的に影響しているとみられる。決算発表が本格化するなか機関投資家は積極的には動きづらく、先物主導での売り仕掛け的な売買には注意したいところである。

その他、22、23日に日本銀行が金融政策決定会合を開き、結果発表時に展望リポートを公表。黒田総裁が記者会見する。日銀内では金融緩和を粘り強く続ける必要があるとの認識が共有される中、少数派から金融政策の正常化に向けた意見が出始めているようである。前週には日銀が買い入れた長期債が予想を下回ったことから、市場は日銀がテーパリング(資産買い入れの段階的縮小)に着手したと受け止めた。ささいな兆候にも即座に反応する状況のなか、黒田総裁の記者会見に市場の関心が集まることになる。

経済環境の好転を考えれば、正常化に向けた議論に変化が起こることは当然であり、正常化に向けて議論を行う必要性が中期的に増してくる公算が大きいだろう。とはいえ金融緩和縮小観測を打ち消す発言等が出されるようだと、円安のほか業績上振れへの思惑から株高要因となる。決算内容がコンセンサスの範囲内としても、円安効果から業績上振れ期待が残され、押し目買いを強める一因になりそうだ。

また、22日に通常国会が召集される。安倍首相は今月召集する通常国会は働き方改革国会とし、子育て、介護などそれぞれの事情に応じた多様な働き方を可能にすることで、一億総活躍社会を実現すると述べている。政府側は、通常国会に働き方改革の関連法案やカジノを含むIR=統合型リゾート施設を整備するための法案など合わせて64本の法案の提出を予定している。東京五輪後の施設活用問題等もあり、カジノへの関心が再燃する可能性がありそうだ。

■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い展開か。ドイツ政局や欧州中央銀行(ECB)の政策転換への思惑が広がるなか、ユーロ・ドルの値動きに左右される展開となりそうだ。トランプ政策への期待でドルが買い戻される可能性もある。ドイツのメルケル首相は、自身が所属するキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党の社会民主党(SPD)との大連立による政権の発足に向け協議を進めているが、大連立政権の樹立に失敗した場合、ユーロ売り・米ドル買いが活発となり、この影響でドル・円の取引でもドル買いが強まる可能性がある。

ただ、ECBは3月までに債券購入の終了期日を決めて発表するとの見方が広がっており、ユーロ圏のインフレについての楽観的な見通しが提示された場合、ユーロ買い・米ドル売りが再び強まり、この影響でドル・円の取引でもドル売り・円買いが優勢となる可能性は残されている。

22-23日開催の日銀金融政策決定会合で現行の金融緩和策を維持することが決定された場合、ドル買い・円売りが広がる見通し。また、トランプ米大統領は一般教書演説に向け、大統領選の公約としていた1兆ドル規模のインフラ整備計画を発表するとの見方が浮上している。政策期待を手がかりに米国株が堅調に推移し、米長期金利がさらに上昇した場合、ドルの押し上げ要因となるだろう。

■来週の注目スケジュール

1月22日(月):金融政策決定会合、通常国会召集、コンビニ売上高など

1月23日(火):百貨店売上高、黒田日銀総裁会見、独ZEW期待調査など

1月24日(水):貿易統計、独製造業PMI、米製造業PMIなど

1月25日(木):独IFO企業景況感指数、米新築住宅販売件数など

1月26日(金):ファナック決算、中工業利益、米10-12月GDP速報値など

《TM》

提供:フィスコ

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