佐藤正和氏【相場変調、政局不安に揺れる株と為替の行き先】(2) <相場観特集>

特集
2018年3月19日 19時15分

―4月新年度入りを前に考える視界不良相場への対処法は―

東京株式市場は冴えない動きが続いている。2月14日と3月5日の2万1000円台割れで2点底を形成し出直り途上にあるが、ここにきて国内政局の不安定さが上値を重くしている。期末相場も大詰めを迎えているが気迷い材料は多い。新年度入りを前に投資家はどういうスタンスで臨めばよいのだろうか。また、トランプ保護主義を背景としたドル円相場の動向も気になるところだ。日本株と為替の見通しについて、それぞれ業界の専門家に話を聞いた。

●「『森友問題』、『米保護主義』警戒し103円台の円高も」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

米国経済は、景気が良好で失業率は低い状態にありファンダメンタルズ的には問題がない。しかし、このような状況に対して、為替市場でのドルの上値は重くドル安・円高が進む状況にある。これは、ひとつには、米トランプ政権による「保護主義」への懸念、もう一つは日本の「森友学園」問題への警戒感があるのだろう。

米保護主義に関しては、トランプ政権は中国を意識した輸入制限の動きを見せている。これに対して中国が対抗措置に出るような状況となるかどうかが注目される。

また、急浮上してきた森友問題に関して、先行きに対する警戒感が強い。森友学園への国有地売却に絡み決裁文書が書き換えられた問題が、麻生財務大臣の辞任などで収まればいいが、昭恵首相夫人の国会での証人喚問にまで至れば、状況はより厳しくなることが予想される。こうしたなか、当面は今月末と予想される佐川前国税庁長官の証人喚問に対する反応が焦点となるだろう。

一方、20~21日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。ここで先行きの金利見通しを示すドットチャートが年3回の利上げとなるか、年4回となるかが注目される。年3回にとどまれば、米株高となりドルが上昇する可能性がある。もっとも、FOMCを乗り切っても「米保護主義」と「森友問題」が警戒され、当面は上値は重い展開が続きそうだ。

今後1ヵ月程度のドル円レートの想定レンジは、103円00~108円00銭。トレンドはドル安・円高で、105円を割り込めば103円まで円高が進むこともあり得るとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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