コラム【アナリスト夜話】:森友問題で感じる官と民の壁(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)

経済
2018年3月22日 9時36分

今週末のTV番組は、森友問題一色でした。解説者らが口々に背景を推測し、関係者の責任に言及していました。

事実関係が明らかになれば、次に必要なのは、今後の再発防止策です。しかしこれは、個人の引責の問題ではなく、意外と時間のかかるものになりそうな気がします。

日本の公務員は、人口当たりの数が先進国中突出して少なく、かつ、収入は高いと言われています。このためか、離職率は5.9%と、企業の一般職の11%よりかなり低くなっています。

転職が少ないことは、組織への忠誠心を高めるという点ではプラスです。が、それが強くなり過ぎると、その組織を守ることと、その中で自分がステータスを確立していくことに邁進してしまう懸念があります。

また、公務員の人員が少ないということは、他国に比べて多忙になっており、その分民間との接触も限られている可能性があります。結果として、民間のメンタリティと距離が生まれ、逆に民間からは、官の世界が見えにくくなり、厳しい批判の対象になりやすくなっている感もあります。

断絶を生まないためには、やはり人の交流が重要でしょう。よく言われる通り、他国では、官民の間の転職が盛んな“回転ドア”になっているケースが多くみられます。何らかの形で交流を進めることが、改善の手がかりになるのではと思います。

いずれにしても、当面の報道は、こうした長期的な対応策よりは、責任問題に終始するでしょう。政権交代までに至るとは考えにくく、市場に中長期的な影響はないでしょうが、ひとまず、証人喚問の行方や引責の範囲、年内決定予定の消費増税への影響などをフォローしておく必要がありそうです。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那

(出所: 3/19配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)

《DM》

提供:フィスコ

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