人手不足で商機拡大、上値期待膨らむBPO関連銘柄 <株探トップ特集>

特集
2018年3月22日 19時30分

―2021年に8000億円超の巨大マーケットに拡大―

「人手不足」というと建設や運輸、外食業界などを思い浮かべる人も多いと思うが、企業のバックオフィス業務(総務、経理、人事、福利厚生 、顧客対応、購買・調達、営業支援など)や、ミドルオフィス業務(データ収集・分析、マーケティングなど)の分野でも深刻化している。一部ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入などが進められているが、それ以上に活発なのが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング=事務処理の受託)の導入だろう。人手不足を背景に商機が拡大するBPO関連銘柄に注目したい。

●5年間の年間平均成長率は3.7%

BPOとは、前述のバックオフィス業務やミドルオフィス業務など企業内部で行われている業務を外部企業が受託するサービスのこと。また、これらの代行のほか、コールセンター やヘルプデスクなどのカスタマーケア分野の受託や、ITアウトソーシングなど、その分野は多岐にわたる。

2000年代に入り、コストカットや人員削減で拡大してきたBPO市場だが、最近では人材不足のため積極的に採用されるケースが増えていることから、さらに拡大を続けている。IT専門の調査会社IDC Japan(東京都千代田区)が17年4月に発表した国内BPOサービスの市場規模によると、16年の国内市場は前年比4.9%増の7017億円となったもようで、さらに16~21年の年間平均成長率は3.7%、21年の同市場は8427億円になると予測している。

●人事BPOサービスで注目の社宅S

特に近年、市場の拡大が顕著なのが福利厚生などの人事BPOサービスだ。比較的早くからサービスの利用が進んでいたのは財務・経理分野や調達・購買分野だが、新卒人材の確保や採用競争の激化を背景とした雇用定着の強化、コスト削減要求を背景とした人員のコア事業へのシフトなどを契機に、福利厚生サービスを外部に委託する動きが進んでいる。

例えば、代表的な福利厚生サービスの一つである社宅に関しては、社宅管理代行サービスのトップ企業である日本社宅サービス <8945> [東証2]の社宅管理件数は、上場直後の06年6月期は約8万件だったが、17年6月期は20万6000件に増加。さらに20年6月期には23万4000件に拡大を見込む。同社は管理件数の積み上げによるストックビジネスが主力であることから、管理件数の増加による収益拡大が続きそうだ。

●福利厚生アウトソーシング大手のリログループ

同じく社宅管理事務代行大手で、福利厚生の総合アウトソーシングを展開しているリログループ <8876> の社宅管理件数は13年3月期に6万122件だったが、17年3月期には14万4447件に増加しており、なおも獲得は好調としている。なお、同社は海外赴任支援サービスが大企業を中心に拡大していることも要注目だ。

また、同じく福利厚生アウトソーシングでは、ベネフィット・ワン <2412> [東証2]にも注目。企業や官公庁の福利厚生業務運営代行でトップクラスで、会員は入会金・月会費を払えば、同社が契約するホテルやレジャー施設を特別料金で利用できる。最近ではクライアントが顧客会員に対して課金し、同社がコンテンツをOEM供給する形で会員制割引サービスを販売する事業も展開しており、新たな収益源となることが期待されている。

●ベル24HDは凸版印との提携効果に期待

一方、音声通話ベースのサービス需要の低下などで、近年伸び悩んでいたカスタマーケア分野も、デジタルマーケティングの実用化をきっかけにマルチチャネル対応への需要が拡大しているほか、テクノロジーの進歩で音声電話もデジタルマーケティングに活用しやすくなったことなどを背景に再び成長期待が高まっている。

ベルシステム24ホールディングス <6183> は、業界トップのコールセンター事業を中心とするCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)事業のベルシステム24が中核。BPO事業強化のため、昨年11月には凸版印刷 <7911> と資本・業務提携契約を締結しており、今後の業績への貢献が注目されている。

また、同じくコールセンター大手のトランス・コスモス <9715> やプレステージ・インターナショナル <4290> 、三井物産系のテレマーケティング大手りらいあコミュニケーションズ <4708> なども関連銘柄として関心が高い。さらに、BPO事業者への人材派遣を手掛けるキャリアリンク <6070> も要注目だ。

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