高成長【始動】候補リスト〔東証1部〕編 36社選出 <成長株特集>
米中貿易戦争への警戒感や今年に入ってからの円高進行などを背景に大型株が手掛けづらい展開が続くなか、外部環境の影響を受けにくい銘柄として中小型株を見直す動きが強まっている。本特集では、製品・サービスの販売拡大もしくは買収や提携などにより、高成長に向けて動き始めた可能性が高い小型株にスポットライトを当ててみた(3月29日現在)。
今回は第1弾として、時価総額1000億円未満の東証1部上場銘柄(銀行を除く)を対象に、本決算月にかかわらず直近四半期に前年同期比で【10%増収・20%経常増益】を2四半期もしくは3四半期連続で達成した銘柄を、“高成長「始動」候補”として36社を選び出し、直近四半期の増益率が大きい順に記した。連続で収益が拡大し始めた企業は、これから高成長が期待できる有力候補として注目していいだろう。
増益率トップとなったのは富士ソフト <9749> の子会社で、CAEソリューション事業を主力とするサイバネットシステム <4312> 。CAEは工業製品の設計・開発においてコンピューター上でのシミュレーションなどにより、開発期間や開発コストの削減を支援するシステム。直近3ヵ月の17年10-12月期(第4四半期)は電気機器や自動車関連向けを中心にライセンス販売が好調で、経常利益は前年同期の7800万円から5億5700万円に急拡大した。同社は中期経営計画で20年12月期に営業利益30億円超(17年12月期は15億円)と3年間で倍増させる目標を掲げており、今後の成長加速が期待される。
2位のヘリオス テクノ ホールディング <6927> はインクジェット精密印刷機の大型案件の追加受注分を納品したうえ、露光装置用光源ユニット装置の販売も好調だった。続く3位の昭和電線ホールディングス <5805> は建設・電気工事業者向け電線線材の販売が回復したうえ、銅価格の上昇で採算も大きく改善し、2四半期連続で「10%増収・20%増益」を達成した。ヘリオス テクノ、昭電線HDともに予想PERが8倍台と割安感が強く、見直し余地が大きいとみられる。
4位のフィックスターズ <3687> は自動運転関連のアルゴリズム開発や高速化案件を中心に利益率の高いソフト開発の受注増勢が続いた。同社は量子コンピューターを世界で初めて商用化したカナダのDウェーブ社と提携して量子コンピューター導入支援サービスを開始していることから、同関連銘柄の筆頭格としても注目を集める。また、3月31日割当の1→5の株式分割を実施しており、流動性向上による売買活性化が期待される。
5位に入ったのは電気計測器専門メーカーの日置電機 <6866> 。10-12月期(第4四半期)は旺盛な設備投資需要を背景に、電子部品向け回路素子測定器が好調だったほか、EV(電気自動車)化が加速する中国や欧州向けにバッテリーテスターが大きく伸びた。18年12月期は2期連続の2ケタ経常増益を計画する。世界的な自動車の環境規制の高まりを背景に、EV関連として中期的な成長期待も強い。
8位のライクキッズネクスト <6065> は認可保育園の新規開設数が増加したうえ、受託保育施設の値上げ効果も寄与し、11-1月期(第3四半期)の経常利益は前年同月比2.1倍に膨らんだ。5-1月期(第3四半期累計)経常利益の対通期計画進捗率は90.7%と高水準で業績上振れが有力視される。株価は決算発表翌日に急騰した後も堅調な値動きをみせている。
そのほか、社会人向け教育サービスを手掛ける21位のインソース <6200> 、25位の間仕切り大手である小松ウオール <7949> などは値動きの荒い全体相場に逆行し、上値を追う展開が続いており、強調銘柄としてマークしておきたい。
※4月1日(日)19時30分に、東証2部上場銘柄と新興市場(マザーズ、ジャスダック)を対象とする【第2弾】を配信します。ご期待ください。
┌─ 経常利益 ─┐ ┌─ 売上高 ─┐ 増収増益
コード 銘柄名 増益率 直近四半期 増収率 直近四半期 予想PER 連続期数
<4312> サイバネット 614 557 30.3 4817 24.9 3
<6927> ヘリオスTH 237 1062 62.8 6467 8.0 2
<5805> 昭電線HD 185 1901 18.9 45528 8.4 2
<3687> Fスターズ 150 255 12.0 1156 94.4 2
<6866> HIOKI 133 574 21.6 5386 20.5 3
<6121> 滝沢鉄 128 679 42.4 7551 9.5 2
<8084> 菱電商 121 1389 16.1 60940 11.9 2
<6065> ライクKN 115 221 22.5 4462 14.9 3
<6292> カワタ 115 442 51.6 5630 14.5 2
<8923> トーセイ 114 528 47.7 15776 9.2 2
<7718> スター精 112 2078 25.9 15307 15.6 3
<1716> 第一カッタ 97.4 748 39.8 4311 11.6 3
<6143> ソディック 89.9 3444 45.8 23196 11.3 2
<2681> ゲオHD 89.3 5738 13.4 85083 11.5 2
<4215> タキロンCI 77.2 2997 93.6 37412 11.1 3
<8892> 日エスコン 76.5 3438 47.6 25310 10.9 2
<1939> 四電工 75.8 589 19.7 18925 10.0 2
<7740> タムロン 71.7 1755 12.7 18063 16.9 2
<3963> シンクロ 69.6 156 38.7 344 124 3
<7510> たけびし 64.6 989 29.8 20228 13.3 2
<6200> インソース 63.3 245 19.3 1055 74.3 2
<6393> 油研工 63.0 621 21.4 7532 10.5 2
<2384> SBSHD 62.1 2033 11.6 40945 12.4 2
<3656> KLab 53.6 1086 70.5 8539 19.4 2
<7949> 小松ウオール 49.6 606 11.6 8013 13.0 2
<3741> セック 49.4 239 23.5 1361 35.3 2
<8798> Aクリエイト 47.7 257 22.1 2333 26.9 3
<5358> イソライト 43.5 894 20.2 4442 9.8 3
<6727> ワコム 43.2 2561 17.4 24584 43.3 2
<6440> JUKI 42.7 2448 20.4 29431 12.3 2
<1898> 世紀東急 42.3 2193 40.3 24584 10.5 2
<3465> ケイアイ不 38.9 1161 30.1 15129 11.3 2
<9790> 福井コン 38.9 903 18.8 2700 22.7 2
<7246> プレス工 33.8 2923 29.5 54063 10.8 2
<9902> 日伝 30.6 1874 15.8 30614 15.6 3
<1871> PS三菱 23.9 2809 11.2 32747 9.6 2
※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。
株探ニュース