富田隆弥の【CHART CLUB】 「連休谷間の高値」
◆5月の初日。夜空には見事な満月が輝く。日経平均株価は連休の谷間であるほか、米国でFOMC(5月2日)、雇用統計(4日)を控えることから上下100円幅の小動きであったが、終値は40円高の2万2508円と3連騰、3カ月ぶり水準に戻してきた(本稿執筆は5月1日)。
◆日足チャートは3月26日の安値2万0347円からジリ高基調で、節目の75日移動平均線(2万2119円)や一目均衡表の「雲」上限(2万2238円)を抜いてきた。派手さはないものの着実な右肩上がりは力強く、為替(ドル円)も109円70銭と戻していることもあり、このまま2月上旬に空けた二つの窓(2万2659円、2万3122円)を目指してもおかしくない。
◆とはいえ、3月26日安値から日足は26本を数え(変化日)、サイコロジカルラインは9勝3敗75%(5月1日)、騰落レシオ25日線は127%(4月27日)、RCI(13日線、25日線)は90%台に集まるなど、テクニカル指標は高値警戒色を帯びてきた。一目均衡表の遅行線が「雲」上限(2万2539円)に差し掛かっており、そろそろ調整を挟む可能性があることは承知しておきたい。
◆また、世界マーケットのカギを握るNYダウ平均株価、ナスダック総合指数が依然もみ合い圏でもたついている。NYダウ(4月30日終値2万4163ドル)は75日平均線(2万4893ドル)と200日線(2万3715ドル)の間で、ナスダック(4月30日終値7066ポイント)は4月18日高値7319ポイントと4月2日安値6805ポイントの間でもたついている。
◆米国は経済指標と企業業績の好調が続く一方、10年債利回りが3%に乗せるなど金利上昇傾向も続く。また、スマホ(iPhoneX)の販売低迷が明らかになり、景気や業績の先行き不安が漂い始めている。つまり、株価の「もみ合い」はそれらを映してのことだろうが、いずれにせよもみ合い相場は「放れに従う」のが基本となる。
◆大型連休で国内は休場となるが、その間の米国市場(NYダウ、ナスダック)の動向により連休明け(5月7日以降)の方向性が決まる。日経平均のジリ高と為替の円安傾向が続いたこともあり先高(強気)観測を抱く投資家が増えているように思われる。しかし、5月は「セル・イン・メイ(株を売って旅に出ろ)」の格言もあり、どこで高値を打つかを探るのもポイントだ。早ければ、満月と変化日の重なる連休の谷間に高値示現の可能性がないとも言えない。
◆そして、もみ合うNYダウ、ナスダックもそうだが、日経平均であれば25日移動平均線(2万1793円)などチャートで崩れとなる下値ポイントを注視することも必要だ。その下値ポイントを維持しているなら5月高、6月高のイメージを抱いても構わないが、あくまでも1月高値に対する二番天井模索の動きであることを承知しておきたい。
(5月1日 記、毎週土曜日に更新)
株探ニュース