欧米為替見通し:ドル・円は戻りの鈍い展開か、米利上げ加速期待は後退も

通貨
2018年5月30日 17時25分

今日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想する。欧州政治リスクを背景とした警戒は続くものの、過度な警戒による円買いはいったん収束し、ドルは買い戻される見通し。ただ、米利上げペース加速への期待は弱まり、回復の足取りは重くなりそうだ。

イタリアの政治的混迷を背景にリスクオフのムードが広がり、前日はイタリア国債や欧州株が大きく売られ、ユーロ・円は2%超の大幅安を記録。NY市場でもマネーの安全資産への逃避が鮮明となり、株安、債券買いで長期金利は水準を切り下げた。10年債利回りは2.76%台まで急激に低下し、ドル・円は一時108円11銭まで弱含んだ。

ただ、本日のアジア市場では、前日の混乱はいったん収束し、大幅安を修正する動きとなった。日経平均株価は前日比400円安の軟調地合いとなる場面もあったが、ドルは押し目買いで底堅い値動き。米10年債利回りも2.82%台に持ち直したことで、ドルの買戻しを後押し、ドルは108円後半に値を戻しつつある。

そうしたなか、今晩は米国の5月ADP雇用統計(21時15分)や1-3月期国内総生産改定値(21時半)など経済指標が材料視される。ADP統計は今週末の5月雇用統計の先行指標として注目され、GDP改定値は市場予想を下回らなければ、景気拡大基調の維持との見方が広がりそうだ。いずれも連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策に影響するため、ドルの押し上げ要因となろう。

しかし、イタリアの政治リスクは思った以上にインパクトが大きく、CMEグループが算出するFedウォッチによると、ほぼ織り込み済みだった6月の利上げへの予想も低下しており、今晩の経済指標は堅調でも米利上げペース加速への期待は高まらず、ドル買いは小幅にとどまろう。

【今日の欧米市場の予定】

・16:55 独・5月失業率(予想:5.3%、4月:5.3%)

・18:00 ユーロ圏・5月景況感指数(予想:112.0、4月:112.7)

・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-2.6%)

・21:00 独・5月消費者物価指数速報値(前年比予想:+1.9%、4月:+1.6%)

・21:15 米・5月ADP雇用統計(予想:+19.0万人、4月:+20.4万人)

・21:30 米・1-3月期GDP改定値(前期比年率予想:+2.3%、速報値:+2.3%)

・21:30 米・4月卸売在庫速報値(前月比予想:+0.5%、3月:+0.3%)

・21:30 カナダ・1-3月期経常収支(予想:-182.0億加ドル、10-12月期:-163.5億加ドル)

・23:00 カナダ中銀が政策金利発表(1.25%に据え置き予想)

・03:00 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.