<話題の焦点>=乳児用液体ミルク解禁で各社の取り組みに注目

特集
2018年5月31日 12時10分

乳児用液体ミルクの国内販売が今夏にも解禁される。新生児には1歳を迎えるころまで、母乳か母乳に近い成分の調整乳を与える必要があるが、日本では乳児用の調製乳といえば「粉ミルク」が一般的だった。粉ミルクは、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)によって規定され、成分などの規格が細かく決められており、メーカーはこの基準に沿って製品を製造・販売している。

一方、液体ミルクは症例に定められた規格そのものがないため、「乳児用」として販売できなかった。そのため、海外で流通している液体ミルクを輸入できるものの、日本では「乳飲料」に分類され乳児用としての販売ができないのが現状だ。

これに対して、東日本大震災や熊本地震の時に、海外から支援物資として乳児用液体ミルクが届けられたことをきっかけに、日本でも液体ミルク解禁に向けた動きが活発化。今年3月12日には厚生労働省の専門家部会で、製造や保存方法の基準を盛り込んだ省令改正案が了承された。5月15日には消費者庁が「特別用途食品」として許可する基準を新たに設けることを決め、いよいよ解禁の運びとなる。

●利便性に優れ災害に備えた備蓄も可能

液体ミルクは、メーカーが消毒した容器(ペットボトルや紙パック)などに充填された製品で、容器に吸い口があるもの、吸い口を装填するものなどがある。いずれも、粉ミルクのような哺乳器の消毒や、粉を溶く温度の調整などの手間がかからず、容器を開けたらすぐに飲ませることができるため便利。常温で一定期間保存できることから災害時の備蓄としての利用や、育児負担の軽減につながると期待されている。

現在、国内で粉ミルクを製造しているのは、明治ホールディングス<2269>や森永乳業<2264>、雪印メグミルク<2270>のほか、江崎グリコ<2206>子会社のアイクレオ、アサヒグループホールディングス<2502>傘下のアサヒグループ食品(「和光堂」ブランド)の5社だが、粉ミルクが液体に切り替わる際には専用の製造ラインが必要となるほか、物流面などでも再構築を図る必要があり、解禁後すぐに液体ミルクの普及が進むわけではない。

ただ、公的な補助が期待できることに加えて、量産が軌道に乗れば、中国や東南アジアへの輸出などでビジネスチャンスが広がる可能性が高く、今後の各社の取り組みに注目したい。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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