新興市場見通し:メルカリを皮切りにIPOラッシュスタート、新規上場銘柄に関心
先週の新興市場では、日経平均の上昇とともにマザーズ指数や日経ジャスダック平均も持ち直しの動きが続いた。米朝首脳会談の実現が好感されたほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前に日米金利差拡大への思惑から円安が進み、投資家心理の改善が新興市場でも追い風となった。ただ、外部環境の不透明感に対する警戒感も根強く、マザーズ指数や日経ジャスダック平均は75日線を前に伸び悩んだ。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.7%であったのに対して、マザーズ指数は+2.1%、日経ジャスダック平均は+1.0%だった。
個別では、ミクシィ<2121>が週間で4.2%安、サイバーダイン<7779>が同4.6%高となるなどマザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。サイバーダインは小型バイタルセンサーの医療機器承認申請を提出したと発表している。マネーフォワード<3994>は同8.4%高と上げが目立った。売買代金上位ではALBERT<3906>や上場後初めて決算発表したラクスル<4384>が大きく買われ、新ソリューションを発表したアプリックス<3727>が週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、ユナイテッド<2497>やAppBank<6177>はやや利益確定売りに押され、決算がマイナス視されたモルフォ<3653>やメディアシーク<4824>などが下落率上位に顔を出した。ジャスダック主力では、日本マクドナルドHD<2702>が同5.6%高、UTグループ<2146>が同8.5%高と堅調に推移したものの、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同3.8%安と軟調だった。売買代金上位ではSAMURAI&J PARTNERS<4764>などが買われ、NFK-HD<6494>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。材料性やテーマ性があり、軽量感の強い小型株に物色が向かいやすかったようだ。反面、過去の財務諸表に会計上の誤謬等の可能性があることを公表したトレイダーズHD<8704>などが下落率上位に顔を出した。
今週の新興市場では、メルカリ<4385>上場を皮切りに6月後半のIPOラッシュがスタートし、新規上場銘柄が注目を集めそうだ。新規上場銘柄が好スタートとなり、既上場銘柄に資金が還流する展開も期待されるところだろう。ただ、新規上場銘柄がセカンダリーでも資金を集めれば、マザーズ指数は伸び悩む可能性がある。
メルカリの株価が堅調に推移すれば、株主であるユナイテッドなども改めて買われそうだ。また、SOU<9270>などのリユース関連銘柄もテーマ株物色の流れとなる可能性がある。なお、今週は6月21日にオプトエレクトロニクス<6664>などが決算発表を予定している。20日には5月訪日外客数の発表が予定されており、アドベンチャー<6030>やHANATOUR JAPAN<6561>といったインバウンド(訪日外国人客)関連銘柄の動向も注視したい。
IPO関連では、前述のメルカリなど6社が新規上場する。6月19日上場のメルカリはフリーマーケット(フリマ)アプリで知られ、今年の注目IPOの1つに挙げられる。公開規模1307億円とマザーズIPOとしては異例の大型案件だが、ブックビルディングの需要倍率は個人投資家で50倍、全体で35倍に上ったようだ。初値期待も大いに高まるだろう。その他では20日上場のログリー<6579>、21日上場のSIG<4386>やZUU<4387>などの事前人気が高く、活況を見せそうだ。
《FA》
提供:フィスコ