アドクリ Research Memo(3):積極的なWebプロモーション施策が奏効し、2ケタ増収増益に

特集
2018年6月19日 15時03分

■業績動向

1. 2018年9月期第2四半期累計業績の概要

アドバンスクリエイト<8798>の2018年9月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比19.7%増の4,653百万円、営業利益で同35.0%増の615百万円、経常利益で同33.4%増の603百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同23.9%増の411百万円と2ケタ台の増収増益となった。第2四半期累計業績の会社計画は非開示だったものの、売上高、利益ともに想定を上回ったものと見られる。

SNSやチャットボット等を活用した効果的なWebプロモーション施策を実施したことにより、保険契約の獲得が順調に進み、主力の保険代理店事業の売上高が前年同期比21.4%増収、営業利益が同73.5%増益と好調に推移したことが業績のけん引役となった。売上構成比の変化によって売上原価率が前年同期の23.6%から26.4%に上昇したものの、販管費率が増収効果によって64.7%から60.4%に低下し、営業利益率は11.7%から13.2%に上昇した。

2. 事業セグメント別動向

(1) 保険代理店事業

保険代理店事業の売上高は前年同期比21.4%増の4,175百万円、営業利益は同73.5%増の485百万円となった。半期ベースで売上高が40億円を超えるのは2007年9月期以来のこととなる。前期後半よりLINE<3938>やFaceBook<FB>等のSNSを使ったWebプロモーションやチャットボットの活用など新たなマーケティング手法に業界に先駆けて取組んだことで「保険市場」への集客力が高まり、資料請求・問い合わせ件数が前年比2ケタ増と伸張したことが売上好調の要因となっている。また、新たな取り組みとして2017年6月より開始したAMEXとの協業により、AMEXカード会員をターゲットとした共同募集による契約件数増加も寄与した。中小企業の経営者が顧客として増えてきたことで法人契約についても徐々に増加し始めている。

営業利益に関しては、3年ぶりの増益に転じている。前年同期はマイナス金利導入の影響で一部の貯蓄性商品の販売が停止となるなど混乱が生じたほか、販売手数料率の引下げの影響もあり減益を強いられたが、当期は手数料率の低下もなく、また、相対的に手数料率の高い保険商品の販売が好調だったことも収益性の回復につながった。

申込みANP(新契約年換算保険料)※1については、前年同期比5.3%増の4,196百万円となった。前年同期は3月に料率改定に伴う駆け込み需要で大きく伸びたことを考慮すれば、実質ベースでは10%台の伸びだったと見られる※2。チャネル別で見ると、対面販売が前年同期比2.8%増、通信販売が同5.0%増、協業店が同17.6%増といずれも増加した。また、2018年3月末の保有契約件数は、前年同期比で2.2%増の507千件と増加傾向が続いている。

※1 ANP(Annualized New business Premium):新規契約分の年換算保険料。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。

※2 保険料率改定により2017年3月の申込みANPは前年同月に比べ87%増であった。

対面販売の伸びが鈍化したが、これは前年の駆け込み需要の反動によるものとなっている。実際、営業マン1人当たりANPについても同9.1%減と減少に転じている。ただ、駆け込み需要の影響を除けば引き続き高い生産性を維持していると言える。一方、協業店については駆け込み需要の影響はあったものの、同社からの顧客送客数が増加したことにより、2ケタ伸張となった。なお、通信販売の増加要因としては、ネット生保ANPが前年同期比57.3%増と急回復したことが主因となっている。

(2) メディア事業

メディア事業の売上高は前年同期比33.8%減の286百万円、営業利益は同23.5%減の82百万円となった。これは前期の中頃からクライアントとの受注契約形態がスポット契約からレギュラー契約へと変化したことによる一時的な要因であり、クライアントである保険会社からの広告出稿意欲は引き続き旺盛な状況であることに変わりはない。

(3) 再保険事業

再保険事業の売上高は前年同期比5.8%増の356百万円、営業利益は同31.5%減の45百万円と増収減益となった。再保険の契約額が着実に増加し売上高は増加したものの、自然災害の発生等により前年同期より支払保険料が一時的に増加したことが減益要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

提供:フィスコ

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