来週の株式相場見通し=貿易摩擦懸念持続で上値重い、好業績銘柄の個別物色に期待感
来週(9~13日)の東京株式市場では、日本時間6日午後に米中両国が互いの輸入品に対して追加の制裁関税を予定通り発動したことで、“とりあえず重要なイベントを通過した”したとの短期的な材料出尽くし感が表面化しそうだ。ただ、今後は制裁関税の報復合戦にエスカレートすることも予想されるため、保護貿易主義が世界経済にもたらす景気減速への懸念が増幅し、市場参加者の警戒感が一段と強まる可能性もある。
19年2月期決算企業の第1四半期(3~5月)決算の発表が本格化することから、好業績銘柄への個別物色への期待感はあるものの、全般相場は貿易摩擦問題の先行きを意識するなかで、海外株式相場や外国為替市場の動向を意識しながらの上値の重い推移となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは2万1400~2万2100円とする。
市場関係者からは「きょう、日経平均株価が一時、前日比300円超上昇した背景には、米中の制裁関税発動に伴う株価下落を想定して株価指数先物を売っていた短期筋の投資家が、思惑が外れて買い戻しを急いだという経緯があった。また、アルツハイマー型認知症を対象とした新薬候補の臨床試験の好結果が評価されたエーザイ<4523>が急騰し、この1銘柄で日経平均を約55円も押し上げたことも影響した」との見方が出ていた。
日程面では、黒田総裁が日銀支店長会議で挨拶、5月の国際収支、6月の景気ウォッチャー調査(9日)、6月のマネーストック(10日)、6月の国内企業物価指数、5月の機械受注、5月の第3次産業活動指数(11日)、6月の都心オフィス空室率(12日)、オプションSQ算出日(13日)に注目。
海外では、中国6月の生産者物価・消費者物価(10日)、米6月の生産者物価(11日)、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(11~12日)、米6月の消費者物価、米6月の財政収支(12日)、中国6月の貿易収支、米6月の輸入物価(13日)が焦点となる。(冨田康夫)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)