<話題の焦点>=海洋汚染が深刻化、「マイクロプラスチック」規制で浮上する銘柄は?

特集
2018年7月12日 12時11分

海に漂う「マイクロプラスチック」を取り締まる動きが世界的に広がっている。この微細なプラスチックを魚介類やプランクトンがエサと間違えて食べてしまうと、有害物質が体内に蓄積・濃縮され、それを食べた鳥や人間に悪影響を与えることが懸念されており、早急な対策が求められている。

マイクロプラスチックとは、5ミリ以下の微細なプラスチックごみのこと。発生源は、洗顔料や歯磨き粉などのスクラブ剤に利用されるマイクロビーズによる1次的マイクロプラスチックと、大きなサイズで製造されたプラスチックが自然環境のなかで破砕・細分化された2次的マイクロプラスチックとに大きく分けられる。国連が6月に発表したレポートによると、世界で生産されているプラスチックは年間約4億トン(2015年データ)で、その大半は使い捨て梱包・容器用だといい、不法投棄などで川や海に流れ込んでしまうプラスチックごみは毎年1300万トンに上るとしている。

生態系への悪影響が問題視されるなか、欧州連合(EU)は今年1月、2030年までに使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する方針を打ち出し、6月にカナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議ではプラスチックごみを減らす数値目標などを盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」に日米を除く各国が署名した。出遅れ気味の日本でも6月15日の参院本会議で、微細なプラスチック粒子の使用抑制を企業に求める「海岸漂着物処理推進法改正案」が可決、成立。マイクロプラスチック削減に向けた包囲網は世界規模で着々と進んでいる。

こうしたなか、ファンケル<4921>がマイクロプラスチックビーズの配合を廃止するなどの動きがみられているが、プラスチックごみの削減に大きく寄与すると期待されるのがカネカ<4118>のポリエステル系生分解性プラスチック「カネカ生分解性ポリマーPHBH」だ。同製品は国際的な認証機関から「海水中で生分解する」との認証を受けており、同社では海洋への投機・漂流の多い漁具や釣り具、藻場再生などの海洋資材への用途拡大に取り組んでいる。

また、日本製紙<3863>は7月10日、プラスック製品による海洋汚染問題を受けて「紙化ソリューション推進室」を新設すると発表。同社はリサイクル可能な素材として「紙」へのニーズが高まるとみており、商品ラインアップを拡充する考えだ。このほか、大日本印刷<7912>は4月に世界大手の紙容器メーカーであるSIG社(スイス)と国内で合弁会社を設立し、北越コーポレーション<3865>は17年12月に連結子会社ビーエフ&パッケージ(現:北越パッケージ)が三菱商事パッケージング(東京都中央区)と共同で、イタリア大手無菌充填システムサプライヤーのIPI社と飲料用紙容器および無菌充填システムの独占的販売契約を締結している。

これ以外では、リファインバース<6531>の廃プラスチック類のリサイクル技術や、いであ<9768>が持つ海岸漂流微細プラスチック中の残留性有機汚染物質の分析法などにも注目しておきたい。

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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