来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米決算本格化、米欧首脳会談、米中貿易戦争動向

市況
2018年7月21日 19時42分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限22500-下限23250円

来週の日経平均は23000円に横たわる上値の重さを意識してもみあう展開が予想される。テクニカル的にも懸念材料が台頭している。今週の日経平均は18日、19日と22900円台で押し返されて、5月、6月と同様に23000円ラインの壁意識が高まっている。チャートは5月21日高値2万3050円と6月12日高値2万3011円の「ダブルトップ」を描いていたが、今回上抜けきれないと、さらに頑強な上値抵抗となる「トリプルトップ」形成となってしまう懸念が強まっている。

また、19日には25日移動平均線が75日移動平均線を下回るデッドクロスを示現、20日には上昇をサポートしてきた5日移動平均線を割り込んだことで、調整ムードが高まっている。また、目先の日経平均上下動のカギを握るイベントが、24日の第2回対中追加関税公聴会に続いて予定される、25日のユンケル欧州委員長とトランプ米大統領のホワイトハウスでの会談だ。EUの通商政策を担うマルムストローム欧州委員も同行するこの会談では、欧米の貿易の改善がメインに協議される。会談の結果次第で日経平均先物は上下に振れやすくなり、分水嶺となる可能性が高い。

一方で、日経平均23000円にトライする好材料もある。企業決算による押し上げ効果だ。25日からは主要企業の決算発表が本格化し、物色的には業績相場へ移行してくる。主要どころでは25日にファナック<6954>、日本電産<6594>、26日にキヤノン<7751>、東京エレクトロン<8035>、27日にコマツ<6301>、日立<6501>などが発表予定にある。主要企業は1ドル=100円から105円を今期業績見込みの前提条件としており、機械、電機、自動車、精密には収益上ブレ期待が芽生えてくる。

なお、米国では、23日のアルファベットに始まり、24日はテキサス・インスツルメンツ、25日はフェイスブック、GM、ボーイング、26日はアマゾン、インテル、27日はツイッターと続く。なかでも26日のインテルは日本の半導体関連企業への株価へのインパクトが大きい銘柄だけに、その内容が注目される。

このほか、2週間ぶりにIPOが再開されて6銘柄がマザーズに登場し物色を刺激してくることが予想される。また、17日に9909円の年初来高値を付けているソフトバンクG<9984>が昨年11月以来となる1万円の大台を回復してくると、個人投資家に保有が多い銘柄だけに市場のセンチメントは明るくなってくる。

■為替市場見通し

来週のドル・円はもみ合う展開か。トランプ米大統領はドル高や金利上昇を歓迎していないとの思惑が広がっており、リスク選好的なドル買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。通商問題を巡って米中の対立が続いていることもドルの上昇を抑える一因とみられている。米国の主要経済指標が堅調だった場合、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続への期待は再び高まる可能性があるが、トランプ政権がFRBの金融政策決定に何らかの影響を及ぼすとの見方が増えている。

中国商務省は米トランプ政権による鉄鋼・アルミ製品の輸入関税への報復措置に踏み切る構えをみせており、米中貿易戦争に対する警戒感が再び高まりドル売り・円買いが増える可能性は排除できない。27日に発表される4-6月期国内総生産(GDP)などの米主要経済指標が市場予想を上回った場合、パウエルFRB議長の強気な議会証言を意識したドル買いが強まるとの見方はあるものの、市場予想と一致した場合、ドル買い材料出尽くしでドルの上値は重くなる可能性がある。

トランプ大統領は20日、米CNBCのインタビューで、「強いドルは米国を不利な立場に置く」との認識を表明し、中国からの輸入品5000億ドルに関税をかけることができるとの見解を示した。FRBの追加利上げについても、批判的な考えを述べている。トランプ大統領の発言は、急速なドル高をけん制するものとみられている。市場関係者の多くはドル安誘導を意図したものではないと考えているが、為替や金利に関するトランプ大統領の発言に対する市場の関心はさらに高まることが予想される。

■来週の注目スケジュール

7月23日(月):米・中古住宅販売件数、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数速報値など

7月24日(火):日・製造業PMI、全国百貨店売上高、米・製造業PMIなど

7月25日(水):米・新築住宅販売件数、米欧首脳会談、BRICSサミットなど

7月26日(木):米・耐久財受注、米・卸売在庫など

7月27日(金):欧・ECB専門家予測調査、中・工業利益など

《SK》

提供:フィスコ

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