【植木靖男の相場展望】 ─ 不安材料薄れ8月高へ
「不安材料薄れ8月高へ」
●底力みせるか、中国上海株に底入れ感
悩ましい相場が続いている。振り返れば 日経平均株価は、本年3月23日の安値2万617円(終値ベース)からの反騰相場で二度、2万3000円大台に挑戦したが果たせず、7月再び挑戦したが二度あることは三度ある。やはり失敗して押し戻されている。
さて、先週を考えると7月24日を迎えた日の株価は、もし下落すれば一段安必至とみられていたが、小幅高でしのぎ、九死に一生を得た。
同時にNYダウ平均も同じパターンとなったが、こちらも反発して窮地を脱し、首の皮一枚つながって、その後順調に戻り相場に入っている。
だが、日本株は戻るでなし戻らぬでなし、文字通りやる気のない商状を見せている。売買代金も2兆円を割り込む始末だ。
では、改めて、直近での市場環境を眺めてみたい。
(1)米中貿易摩擦
株から判断する限り、この勝負、米国の勝ち、中国の負けである。だが、底なし沼に入ったとみられた中国上海株が急上昇をみせている。景気への配慮から景気刺激策を導入する可能性がある。ここが中国の強いところだ。これだけの余裕があるのだ。上海株は底入れ感が漂い始めている。
銅、亜鉛など国際商品市況が反転する公算がある。世界の素材株にとって朗報である。
(2)米EU通商協議
肝心の自動車は棚上げとなっているが、話し合いがつけば、日本の今後の対米交渉の先例となるだけに一安心だ。
●日銀の動向に市場の関心の集まる
(3)日銀の金融緩和修正観測
金融機関の収益に対する配慮もあって、ここ金融緩和修正を巡って市場は揺れている。実際、長期金利は1年ぶりに0.100%に上昇、これを受けて日銀は23日に0.110%で無制限に国債を買い入れる「指し値オペ」を発動した(27日に行われた2回目の指し値オペは0.100%)。こういう状況になったとき、日銀は長期金利を本当にコントロールできるのか注目される。際どい局面に入ってきたようだ。週明けの金融政策決定会合が待たれる。
(4)日銀のETF買い
日銀がETF買いを日経平均型からTOPIX型に軸足を移すという。日経平均型は銘柄が限られるため、TOPIX型にして幅広く資金が行き渡るようにすることが理由。これも金融緩和修正と同様、金融機関の収益に対する配慮の一環かも、と勘ぐられる。
ところで、こうした株価に与える影響の大きい材料にしては、株価は良きにつけ悪しきにつけ動きが鈍いが、これまで株価を下押していた不安材料が徐々に薄れつつあるようにみえるのも事実だ。8月相場は早々に2万3000円台に再び挑戦、突破の可能性が大きいだろう。
今回は、8月の優良株・好業績株物色を予想して、日機装 <6376> 。航空機部品、医療機器にくわえ原油高でポンプが好調、PER14倍。日本バルカー工業 <7995> 。シール材が中国インフラ投資で好調、PER14倍。りそなHD <8308> 。3メガ銀に比べ株価は割安、PER7倍、利回り3%。
2018年7月27日 記
株探ニュース