澁澤倉庫 Research Memo(1):中期経営計画「Step Up 2019」にのっとって経営を積極化

特集
2018年8月2日 15時01分

■要約

澁澤倉庫<9304>は、倉庫業を祖業とする総合物流企業であり、事業は物流事業と不動産事業に大別される。物流事業では倉庫業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務の5つの業務を展開している。不動産事業では不動産賃貸や不動産管理などを行っている。同社は1897年に“日本資本主義の父”と言われる澁澤榮一(しぶさわえいいち)によって創業され、昭和初期にかけ全国に支店を開設、戦後は陸・海・空へと領域を拡大し、総合物流の体制を築いた。平成に入ってからは、海外展開を加速する一方不動産賃貸業にも乗出した。このように同社は、日本の経済成長とともに総合物流企業へと発展してきた。

倉庫保管サービスでは倉庫保管と流通加工などを行っている。倉庫保管では、顧客の商品特性に合わせた万全の態勢で保管環境を構築、倉庫管理システムにより最適な物流ソリューションを提案し、顧客の効率的な販売戦略をサポートしている。流通加工では、輸入雑貨や食品の検品・ラベル貼り、アパレル製品の札付け・検針、化学品の解袋・サンプリングなど煩雑な作業を顧客に代わって行っている。陸上運送サービスでは各種輸配送業務を行っており、あらゆるニーズに対応する輸送方法と輸送ネットワークを構築している。最大の特徴は、全国ネットの営業網と輸配送システムによるきめ細かいサービスである。ほかに、輸出入フォワーディング、港湾運送、情報システムなど、物流関連と不動産関連のサービスを展開している。

2018年3月期の業績は、営業収益63,286百万円(前期比9.0%増)、営業利益3,353百万円(同1.5%減)となった。営業収益は消費財を中心に物流事業の取扱いが増加したことなどにより増収となった。しかし、業務拡大に伴う作業費や新業務システム更新に伴う償却費などの増加により、営業利益は微減益となった。2019年3月期業績見通しについて、同社は営業収益63,500百万円(前期比0.3%増)、営業利益3,400百万円(同1.4%増)を見込んでいる。営業収益では、動きの良い消費財を中心とした倉庫業務や輸送業務の拡大、不動産事業での賃貸料増を見込んでいる。一方、営業利益は、不動産事業が償却負担減などから増益、物流事業が新たな再開発事業関連費用の発生などにより減益を予想、全体で微増益の見込みとなっている。

中期経営計画「Step Up 2019」では、特色ある物流企業としての地位を固めることで、企業価値の向上を目指している。数値目標は、2020年3月期営業収益67,000百万円、営業利益4,000百万円(営業利益率6.0%)であり、戦略の考え方は、国内事業が消費財物流の拡充と流通加工などの高付加価値業務の拡大、海外物流が中長期成長に向けた事業基盤の強化、不動産事業が賃貸用不動産の資産価値向上と収益基盤強化、そして経営基盤強化に向けた公正性・透明性・機動性の高い経営の実現??である。

こうした事業戦略にのっとって、2019年3月期も新たな取組みが計画されている。消費財物流の拡大に向け、伊勢崎倉庫、相模原倉庫、各務原倉庫の3拠点を開設する予定である。3拠点とも開設直後から収益貢献が見込まれている。横浜市の所有倉庫に関しては、老朽化のため「横浜市恵比須町第2期」として再開発を推進することになった。人気の高い立地にハイスペックな設備環境の研究開発施設兼倉庫を建設する計画である。自動販売機向け飲料メーカーのダイドードリンコ(株)と合弁会社ダイドー・シブサワ・グループロジスティクス(株)を設立する予定である。将来的に、往復輸送や共配倉庫などのプラットフォームを構築し、飲料物流業界のリーダーを目指す。

■Key Points

・日本資本主義の父・澁澤榮一が創業、倉庫業から総合物流企業へと発展

・消費財中心に荷動きが活発、再開発費用を吸収し2019月年3月期は増益確保へ

・横浜市恵比須町第2期再開発やダイドードリンコとの合弁設立など経営積極的

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

提供:フィスコ

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