日米株価、上値追いの条件は? 貿易摩擦懸念が“上昇にフタ” <東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2018年9月3日 20時00分

日経平均株価は2万3000円のフシ目を終値ベースで超えられず、上値の重い展開が続いている。また、米国市場においてもナスダックやS&P500が史上最高値を更新していることに比べ、 NYダウの上値は重い印象だ。この日米両国の指数の動きは、日経平均とNYダウの構成銘柄をみることで理由が説明できそうだ。

■日米株価、上値追いの条件は?

8月31日時点で、日経平均株価の組入銘柄の構成率を確認すると、過半にあたる約51%を24銘柄で占めている(※構成率:日経平均株価を100%としたときの銘柄毎のみなし値の割合)。この24銘柄の内訳だが、貿易摩擦の影響が懸念されている「製造業」が9銘柄(自動車3銘柄、電気機器6銘柄)のほか、すでに高PERの水準に買われている10銘柄(医薬品6銘柄、一般消費財2銘柄、小売2銘柄)が含まれる。

貿易摩擦の解消に向けて何らかの糸口が見えない限り積極的には買えず、上値を追いにくい構成になっていると言えるだろう。

一方、NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)の構成銘柄はわずか30銘柄であり、貿易摩擦懸念が浮上するたびに、中国売上高比率の高いボーイングやキャタピラーが下落し、NYダウの上値を抑えている。

足元、ボーイングやキャタピラーのチャートと日経平均のチャートを比べると連動した動きのように見えるのはそのためだろう。

■相次ぐ貿易絡みのイベントに警戒

また、今週の米国では、5日(水)に貿易収支の発表と米国・カナダによる北米自由貿易協定(NAFTA)の再協議、6日(木)に対中2000億ドル分の追加関税に関する意見募集期限と、貿易問題に関する注目イベントが予定されている。

先週末に米国とカナダのNAFTA協議は合意に至らなかったばかりか、1日にはトランプ大統領が自身のTwitterで「NAFTAにカナダをとどめる必要はない」「議会は通商協議に干渉すべきではない。そうでなければNAFTAは終わることになる」と警告のツイートをしている。今週は中国・カナダとの貿易摩擦懸念が浮上しやすいイベントスケジュールであり、日経平均が下押しする場面もありそうで警戒は怠れない。

9月3日のレイバーデー明けに、海外勢がどのようなスタンスを見せるのか。日経平均、NYダウの構成銘柄を見る限り、全体の流れとしてはもうしばらく不安定な相場が続くのではないだろうか。

◆東条麻衣子

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