トランプが望む“米製造業の偉大なる復活”、設備投資増で日本企業に恩恵 <東条麻衣子の株式注意情報>
●“有言!実行?”の「米国ファースト」
中国製品に対する追加関税を巡る意見公募が6日に終了した。トランプ米大統領は当初、意見公募が終わり次第、関税発動に踏み切らんばかりの勢いだったが、本稿執筆中の11日現在、未だに発動されていない。
意見公募を終えて、トランプ政権には2000億ドル分の追加関税に対する迷いもうかがえるが、トランプ大統領のこれまでの言動を振り返れば、今後、米国がどのように動くか予測できるのではないか。
筆者が抱くトランプ大統領のイメージは一言で述べると、「とにかく有言!実行?」「トランプ株式会社(米国)の頼もしい代表取締役」といったところ。トランプ大統領のこれまでの言動には、米国にとって良いことであれば力を尽くして実現させる、それによって起きるマイナス要因はカバーする、だから黙って俺について来い――このような意志が滲む。同大統領が信念とする“米国ファースト”のスタンスは今後も続く可能性が高い。
そうなると、躊躇しているようにも見える2000億ドル分の中国製品に対する追加関税も、「有言!実行?」の原則通り発動に踏み切るのだろう。
●新たな対中制裁は回避も、米国回帰の動きは続く
ただし、トランプ大統領が続いて発動の用意があると述べた2670億ドル相当の追加関税については、筆者は発動が回避されるとみている。
対中貿易制裁を背景にトランプ大統領がアップルに求める国内への生産回帰、また2国間協議で揺さぶりをかける日本の自動車メーカーの対米投資増加などで、米中間選挙を前に一定の成果がみえれば、トランプ大統領の強硬姿勢にも和らぐ余地が生じる。その機を捉えて、中国が中間選挙後の11月30日から12月1日に開催されるG20において米国との首脳会談に臨み、何らかの解決策を提示できれば発動は回避される――これが筆者の想定するメーンシナリオである。
しかし、トランプ大統領が仕掛けた貿易摩擦は一朝一夕で解消されるものではなく、今後、各国の企業は対応を迫られることになろう。米国企業による国内生産への回帰や海外企業の米国生産拠点の新設といった動きが顕在化し、貿易問題はあるものの設備投資が活発化する中で2019年の相場は明るいものになっていくと考えている。
トランプ大統領の思惑通りに“米製造業の偉大な復活”が進むのであるならば、米国で設備投資を積極化する企業、もしくは設備投資需要に応え得る米国売上比率の高い日本企業は、業績を伸ばしていく可能性が高いのではないだろうか。
◆東条麻衣子
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