大谷正之氏【駆け抜ける日経平均、2万4000円大台は通過点か】(2) <相場観特集>
―通商摩擦問題への警戒感、下値リスクに対する思惑は―
週明け25日の東京市場は、米国の通商摩擦問題への警戒感をよそに引き続き買い意欲の強い展開となり、日経平均株価は7日続伸と上値指向の強さを発揮。目先買われ過ぎの感は否めないものの、きょうは配当権利取り最終売買日に伴う買いが反映された。気がつけば日経平均2万4000円大台を指呼の間にとらえている。ここからの上値の可能性と下値リスク、さらに物色の方向性などについて第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。
●「10月は企業業績好調期待で上昇トレンドに」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
10月の東京株式市場は、基本的に堅調な推移で高値を追う上昇トレンドとなりそうだ。国内では、自民党総裁選で安倍首相が3選を果たし、アベノミクスが継続する安心感がベースとなっている。10月1日を軸に内閣改造が実施され、補正予算などを含めた経済政策への期待が高まりそうだ。また、3月期決算企業の第2四半期累計業績の好調さが、株価に織り込まれることも想定される。外国為替市場では、徐々に円安・ドル高が進行する流れが継続しており、輸出企業を中心に通期業績の上方修正が顕在化してくることになりそうだ。
懸念材料となっている米中貿易摩擦問題も、11月の米中間選挙が接近するにつれて、双方の強硬姿勢がややトーンダウンしてくる可能性もある。過去の中間選挙前後期間のNYダウ平均株価の推移を振り返ると、堅調な値動きとなったケースが多い。中間選挙終了後も、次の大統領選に向けて、新たな政策が打ち出される可能性がある。
今後の日経平均は、2万4000円台固めを経て、1月23日につけた年初来高値2万4129円34銭を更新してくれば、年内の2万5000円台乗せを目指した上昇相場に期待が高まりそうだ。物色テーマとしては、国策でもある「人生100年時代」に注目している。政府は、超高齢社会への対策として高齢者の就業率アップと同時に、健康寿命の延伸を目指している。
その「人生100年時代」に関連した銘柄として注目したいのが、健康長寿促進を支援する代表企業のタカラバイオ <4974> だ。遺伝子・再生医療研究用試薬や、理化学機器販売を主力とし、再生医療 開発にも注力している。さらに、スポーツクラブ の東祥 <8920> は、愛知県が地盤で「ホリデイスポーツクラブ」を運営し、初心者の掘り起しによる新規店舗の集客や、プログラムの充実に伴う既存店の充実も図っている。また、葬儀、仏壇、お墓のポータルサイト運営など終活関連事業の鎌倉新書 <6184> にも注目したい。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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