藤井知明氏【下期相場入り、復活の東京市場ここからの戦略】(2) <相場観特集>
―好調9月相場を経て10月相場へ、どう変わる市場の景色―
名実ともに下期入りした東京株式市場は、前週末の大幅高の余韻冷めやらぬなか引き続きリスクを取る動きが優勢となった。日経平均株価は目先過熱感こそあるものの、利益確定売りを完全に吸収し、2万4000円台を固める動きにある。カムバック・イン・セプテンバーを地で行く展開となった9月相場を終え、10月相場は果たしてどう動くのか。全体相場の展望と物色の方向性について、先読みに定評のあるベテラン市場関係者に意見を聞いた。
●「先物の買い戻しで上昇基調、中小型株にも再評価余地」
藤井知明氏(あかつき証券 投資調査部長)
日経平均は先週末に今年1月高値を抜き、上昇基調に弾みがついてきた。この要因には、「円安進行」に加え「割安な日経平均株価を見直す動き」などが挙げられるだろう。日経平均の割安是正が強まったのは、米中貿易摩擦で追加関税が実際に発動されたことにより、当面の材料は織り込んだこと、トルコの利上げで新興国不安も後退したことなどが指摘できる。
しかし、何よりも外国人投資家を中心に先物に買い戻しが入ったことが大きい。外国人は、先物での売りポジションをまだ抱えているとみられ、買い基調がもう少し続いてもおかしくない。
こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均は2万4000円を中心とする上下500円前後のレンジを予想する。基調は上昇トレンドだろう。状況次第では2万5000円を意識する展開となってもおかしくない。10月に予定されている日米の決算は良好な内容が見込め、株価の押し上げ要因となりそうだ。
個別では、業績は堅調なうえ、信用面での売り長状態にあり買い戻しによる上昇が期待できるヤマトホールディングス <9064> や、情報通信通信やシステムインフラ投資に絡むNTTデータ <9613> 、ネットワンシステムズ <7518> など注目できる。
また、中小型株も再評価が見込める。RPAホールディングス <6572> [東証M]やSHIFT <3697> [東証M]は業績拡大が期待できる。ZOZO <3092> にも注目したい。ゾゾスーツは、ネット衣料通販での課題となっていた試着の問題をクリアするものであり評価していいと思う。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(ふじい・ともあき)
あかつき証券投資調査部長。1985年日栄証券(現SBI証券)入社。1988年から企業調査業務を務める。その後、モーニングスター、高木証券・企業調査部長を経て、2017年に現職に就任。
株探ニュース