大塚竜太氏【下期相場入り、復活の東京市場ここからの戦略】(1) <相場観特集>

特集
2018年10月1日 18時30分

―好調9月相場を経て10月相場へ、どう変わる市場の景色―

名実ともに下期入りした東京株式市場は、前週末の大幅高の余韻冷めやらぬなか引き続きリスクを取る動きが優勢となった。日経平均株価は目先過熱感こそあるものの、利益確定売りを完全に吸収し、2万4000円台を固める動きにある。カムバック・イン・セプテンバーを地で行く展開となった9月相場を終え、10月相場は果たしてどう動くのか。全体相場の展望と物色の方向性について、先読みに定評のあるベテラン市場関係者に意見を聞いた。

●「既成概念から離脱した相場展開に」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

日経平均は約27年ぶりの高値水準に浮上したといっても、今の証券界にはピンとこない人の方が多くなっているかもしれない。若い世代はバブル相場を知らず、その崩壊のプロセスすら目の当たりにしていない。デフレマインドこそが通常モードであった感は否めず、バイ・アンド・ホールドで利益が乗った時のインパクトを肌で感じてこなかった。しかし、1991年秋以来の株価水準まで時計の針を戻したということは、今は既に脱デフレ相場の観念から解放された局面に入ったと言ってよいのではないか。これまでの感覚からすればここで空売りをぶつけて取ろうと考えるのが普通だが、既にそれが通用しなくなっている新しい相場に入っている可能性がある。

確かに短期的な値幅や騰落レシオなどの株価指標面からはスピード警戒感が意識されて当然であり、短期的な反動はあるだろう。ただ、株価は企業業績がベースとなっていることを忘れてはならない。結論から言って、業績ファンダメンタルズ面との比較で日経平均の2万4000円近辺は、まだかなり割安である。

現在の予想PERは今期業績について小幅減益となることを前提に試算されているが、実際は為替などの外部環境を考慮して5%程度の増益になると考えている。すなわち、日経225ベースのEPSはいま目に見えている1740円近辺のそれではなく、1810~1820円程度が実質的な水準となり、これをモノサシとして考えた場合、PER14倍で2万5400円台、15倍で2万7200円台という数字がはじき出される。いうまでもなく2万4000円台前半で終わる相場ではない。そうしたなか、10月下旬から始まる企業の決算発表で、増額修正が相当数出てくることが予想され、日経平均の先高期待も一段と高まる可能性がある。

物色セクターとしては半導体関連とその周辺。特に東京エレクトロン <8035> やSUMCO <3436> などの主力どころよりも、足の軽い中小型株にマーケットの視線が向かい始めている。半導体向けガスの関東電化工業 <4047> や半導体向けリン酸を手掛けるラサ工業 <4022> 。半導体向け樹脂バルブが好調の旭有機材 <4216> は既に高値圏を快走している。さらに小型では、ホロン <7748> [JQ]やマルマエ <6264> [東証2]、三社電機製作所 <6882> [東証2]などもマークされる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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