日経平均“新上昇波動”で注目の「トリプルメリット銘柄」リストアップ <株探トップ特集>
―物色の原点に帰る“好取組・好業績・低PER”株にスポットライト―
東京株式市場は、外国人による強烈な継続買いを背景に、日経平均株価が26年10ヵ月ぶりの高値水準となり、新たな上昇波動入りを果たしている。今後は、物色の原点に返って底上げ相場が進展をみせそうだ。その際に注目されるのが、信用需給面での好取組・好業績・低PERの3拍子揃った銘柄だ。
●黒崎播磨、耐火物需要が国内外で堅調推移
黒崎播磨 <5352> は7月30日、19年3月期の連結業績予想について、売上高を1340億円から1390億円(前期比12.1%増)へ、経常利益を95億円から110億円(同22.3%増)へそれぞれ上方修正した。耐火物原料市況の上昇傾向が続いているものの、国内での堅調な需要や海外での拡販が見込まれるという。加えて、海外子会社の利益増加や工事案件の利益率改善によるファーネス事業のセグメント利益の向上も期待できそうだ。
●加藤製作所、オランダに子会社設立し欧州での販路拡大
加藤製作所 <6390> が8月10日に発表した19年3月期第1四半期(4-6月)の決算は、売上高193億3400万円(前年同期比5.9%減)、経常利益15億8300万円(同35.8%増)と減収ながら大幅増益となった。中国向け油圧ショベルの需要が寄与している。さらに8月30日、建設用クレーンや油圧ショベルなどの販売を手掛ける子会社をオランダに設立したと発表した。子会社の設立は、欧州での営業・技術サポートを強化し、オランダを含め欧州全域へ販路を拡大することが主な目的という。
●オークマ、半導体製造装置や産業用ロボット向け工作機械が好調
オークマ <6103> は、工作機械大手メーカーで高技術力を武器にマシニングセンターで高水準の受注を確保している。国内では半導体製造装置や産業ロボット、減速機向けが好調に推移。また、海外では自動車や航空機向けで旺盛な需要をとらえている。部材調達が需給ひっ迫による影響で遅延するという逆風はあるものの、台湾メーカーからの調達を開始したことや、国内メーカーの生産能力増強効果が反映されて足もとは解消に向かっている。19年3月期は、自己完結一貫生産型の最新鋭工場「ドリームサイト」での生産性向上が寄与するほか、製品値上げ効果も見込まれ、通期連結経常利益を265億円(前期比17.3%増)と見込んでいる。
●古野電気、生産性向上などによる粗利率の改善が貢献
古野電気 <6814> は、魚群探知機、電子海図など船舶用電子機器大手。同社は7月12日、19年2月期通期の連結業績予想について、売上高を790億円から820億円(前期比3.7%増)へ、経常利益を20億円から40億円(同2.2倍)へそれぞれ上方修正した。舶用事業、産業用事業ともに事業環境が概ね想定の範囲内で推移していることに加えて、第1四半期に生産性向上などによる粗利率の改善が予想以上に進んだことが寄与している。また、為替レートがドル、ユーロともに同社の想定よりも円安水準で推移していることも利益を押し上げる要因となる。
●稲畑産業、液晶関連の需要拡大が成長を牽引
稲畑産業 <8098> は8月7日、19年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算を発表した。売上高1582億4800万円(前年同期比6.4%増)、経常利益37億9500万円(同33.8%増)の大幅増益となった。情報電子事業では、主要な商材の販売が概ね好調で売り上げが増加した。なかでも液晶関連では、偏光板原料の販売は減少したものの、偏光板が中国で伸長した。インクジェットプリンター関連では、コンシューマー分野で新規部品の取り引きが始まり、産業用分野向けも堅調に推移し、全体として販売が伸びた。複写機関連では、国内主要顧客向けの材料が好調に推移し、太陽電池関連は国内向け太陽電池システムの販売が伸長している。
●キムラユニティー、トヨタや北米子会社向け需要拡大で大幅増益基調
トヨタ自動車 <7203> 向けの部品包装を主力とする物流サービス事業を展開するキムラユニティー <9368> が7月27日に発表した19年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算は、売上高129億1400万円(前年同期比11.7%増)、経常利益6億2900万円(同94.8%増)と大幅増益を達成した。第2四半期累計(4-9月)経常利益計画の9億3000万円(前年同期比29.1%増)に対する進捗率は67.6%に達している。主力の物流サービス事業で、トヨタ向けを中心に格納器具製品や包装作業の受注が増加しているのに加え、北米子会社での格納器具製品事業での受注量増加などが寄与している。
●博報堂DYHD、インターネット関連部門が好調推移
博報堂DYホールディングス <2433> は8月7日、19年3月期第1四半期(4-6月)連結決算を発表した。売上高3238億7000万円(前年同期比7.5%増)、経常利益215億1700万円(同2.4倍)となった。第1四半期の売上高を種目別にみると、4マスメディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)では、前年同期に好調だったテレビの反動減もあり、全ての種目で前年同期を下回った。一方、4マスメディア以外では、アウトドアメディアとその他が前年同期を下回ったものの、インターネットメディアを中心にマーケティング/プロモーションとクリエイティブが好調に推移し、4マスメディア以外取引の合計は前年同期を上回った。
◆主な好取組の好業績、低PER銘柄◆
経常
銘柄 <コード> 信用倍率 増益率 株価 PER
日本道路 <1884> 0.65 13.9 6580 10.5
日本製粉 <2001> 0.47 13.8 1996 17.3
セントケア <2374> 0.25 12.9 688 14.0
博報堂DY <2433> 0.26 23.4 2007 18.0
ディーガイア <3738> 0.18 30.4 2963 12.2
エア・ウォーター <4088> 0.53 11.9 2093 14.6
東邦システム <4333> 0.28 11.4 876 15.5
アステラス製薬 <4503> 0.42 22.0 4503 17.8
出光興産 <5019> 0.46 10.5 6120 8.9
黒崎播磨 <5352> 0.46 22.3 5352 10.3
大和工業 <5444> 0.64 40.2 3525 13.9
オークマ <6103> 0.68 17.3 6400 11.7
加藤製作所 <6390> 0.79 85.0 3415 14.3
平和 <6412> 0.06 2.0倍 2522 14.3
古野電気 <6814> 0.72 2.2倍 1492 15.7
日信工業 <7230> 0.27 黒転 1921 18.7
ハークスレイ <7561> 0.64 15.4 1095 10.3
タカノ <7885> 0.47 23.2 1011 14.2
リンテック <7966> 0.69 19.6 2910 13.3
OUGHD <8041> 0.10 61.2 2755 8.5
稲畑産業 <8098> 0.11 2.2倍 1766 10.3
コメリ <8218> 0.35 11.5 2664 11.5
トランコム <9058> 0.63 18.1 8230 17.5
センンコーHD <9069> 0.23 11.5 930 12.3
キムラユニティー <9368> 0.31 21.9 1195 11.5
ヤマダ電機 <9831> 0.42 69.2 570 10.2
※株価は1日終値、信用倍率は21日発表分、単位:倍、%、円
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