新興市場見通し:物色意欲は根強いが不安定な外部環境睨み、IPOは3社
先週の新興市場では、世界的な株安の流れからリスク回避の売りが広がった。日本の3連休中の米ハイテク株安や中国株急落を受けて週初から波乱の出足となったが、10月10日に米国株が金利上昇や通商問題への懸念などから急落すると、翌11日の東京市場では中小型株も含め幅広い銘柄に売りが広がった。ただ、中小型株では週末にかけて押し目買いの動きも出て、12日のマザーズ指数は急反発した。なお、週間の騰落率は、日経平均が-4.6%であったのに対して、マザーズ指数は-3.3%、日経ジャスダック平均は-1.9%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で7.5%安、MTG<7806>が同6.0%安、ミクシィ<2121>が同2.0%安とマザーズ時価総額上位は全般軟調だった。ただ、サンバイオ<4592>はこうした流れに逆行して同3.6%高となった。売買代金上位ではALBERT <3906>などで利益確定の売りが広がり、直近IPO銘柄のブリッジインターナショナル<7039>やチームスピリット<4397>が週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、アドバンスト・メディア<3773>などは堅調な値動きを見せ、決算が好感されたエヌ・ピー・シー<6255>やロコンド<3558>が上昇率上位となった。ジャスダック主力ではセリア<2782>が同0.8%高となったものの、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同16.1%安と急落した。安川電機<6506>の軟調な決算が売り材料となったようだ。売買代金上位ではやはり直近IPO銘柄のブロードバンドセキュリティ<4398>などが売り優勢となり、応用技術<4356>やエムティジェネックス<9820>が週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。反面、愛光電気<9909>や燦キャピタルマネージメント<2134>が上昇率上位となった。IPOでは3社が新規上場し、イーソル<4420>は初日値付かずの高い人気となった。Delta-Fly Pharma<4598>は公開価格を下回る初値形成となったが、その後ストップ高水準まで買われた。
今週の新興市場では、外部環境睨みの神経質な展開が続きそうだ。先週末のマザーズ指数の急反発や、同日上場したイーソルなどの人気ぶりを見ると、個人投資家の物色意欲の根強さが窺える。しかし、週末の米NYダウは終値で反発こそしたものの、不安定な値動きが続いた。外部環境の落ち着きが確認されるまで腰の入った買いは入りにくく、目先的な物色にとどまりそうだ。
今週は、10月15日にティーケーピー<3479>、串カツ田中ホールディングス<3547>、マネーフォワード<3994>、チームスピリット<4397>、メタップス<6172>、ロゼッタ<6182>、and factory<7035>などが決算発表を予定している。また、16日からは家電・ITの国際見本市「CEATEC JAPAN 2018」が開催される。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、フィンテック(金融とITの融合)分野での企業の取り組みが注目されそうだ。
IPO関連では、10月18日にプリントネット<7805>がジャスダックへ、19日にギフト<9279>がマザーズへ、ディ・アイ・システム<4421>がジャスダックへそれぞれ新規上場する。インターネットによる印刷通販を手掛けるプリントネット、ラーメン店運営のギフトは公開規模こそ大きいものの、投資家の関心は高いようだ。システム開発のディ・アイ・システムは公開規模も小さく、初値を飛ばしそうだ。
《FA》
提供:フィスコ