ポケモン・モンハン・DDR…“ハリウッド実写化”続々ゲーム株はどう化ける? <株探トップ特集>

特集
2018年10月15日 19時30分

―話題増加で株価刺激、IP戦略をマーケット注視―

米国発の株価暴落に揺れる世界の金融市場。為替が円高に振れていることも加わって、為替感応度の高い主力株には当面手掛けにくさもあり、内需株の一角にスポットライトが当たる可能性がある。こうしたなか、ゲームや アニメなど日本を代表するコンテンツのハリウッド実写化が相次いで発表されている。特にゲームに関しては、さらなる海外市場に向けての訴求力も見込まれ、将来的に業績への寄与も期待される。ハリウッドでの映画化が進む、 ゲーム関連など日の丸コンテンツの動向を追った。

●ゲーム関連に実写旋風

ここにきて、ゲームやアニメなど日本のコンテンツによるハリウッドでの 映画化(実写化)が次々に進められている。昨年2017年には、人気アニメ「攻殻機動隊」を原作とする「ゴースト・イン・ザ・シェル」が実写化され大きな話題を呼んだ。アニメ「攻殻機動隊」を手掛けるIGポート <3791> [JQ]が、関連株の一角として動意したことは記憶に新しい。ただ、アニメ、漫画などの実写化については、世界的な大ヒットになかなか結び付かないという現実もそこにはある。原作の持つ独特の世界観が十分に表現しきれないことも多く、作品に対する国内外のファンの評価も非常に厳しい。

こうした状況下、ゲームコンテンツのハリウッドでの実写化発表が相次いでいる。ある映画関係者は、あくまで私見であると断りつつ、「(実写化予定の)ゲームコンテンツについては、既に世界中で普及・人気化しているものが多い。グローバルな視点でみれば、実写作品として成功する確率がアニメと比べ“より高い”といえるのではないか」と指摘する。

●カプコンは「ロックマン」に「モンハン」

直近では、カプコン <9697> が4日に「ロックマン」、5日には「モンスターハンター」と、同社ゲームのハリウッド実写化制作を発表しており、ファンのみならず株式市場でも大きな注目を集めた。「ロックマン」シリーズは第1作が1987年に発売され、累計販売本数3200万本(18年6月30日時点)を誇る同社主力ブランドのひとつ。最新作「ロックマン11 運命の歯車!!」は、欧米で2日、日本では4日に発売している。誕生30周年の節目を契機として、実写化でブランドのさらなる活性化を図る方針だ。

また、発売ごとに大きな話題を呼ぶハンティングアクションゲーム「モンスターハンター」は、ハリウッド映画化で世界的な人気がさらに加速しそうだ。04年に第1作が発売、シリーズ累計販売本数5000万本(8月20日時点)を誇る作品。シリーズの最新作となる「モンスターハンター:ワールド」は世界のユーザーから高評価を受け、同社における単一タイトルとして史上最高の出荷本数となる1000万本(8月20日時点)を記録している。

同社の担当者は「モンスターハンター、ロックマンシリーズの奥深い魅力をベースに映画として素晴らしい作品が完成することで、ゲームのファンにとどまらず、より多くの方に楽しんでいただけることを目指したい」と話す。株価は、8月20日に直近安値となる2377円まで売られた後はジワリ下値を切り上げ、ここ全体波乱相場も2600円台で底堅い値動きとなっている。

●コナミHD、「DDR」で株価も躍る?

コナミホールディングス <9766> 傘下のコナミアミューズメントが手掛けるゲーム「DanceDanceRevolution(ダンスダンスレボリューション=DDR)」の実写版がハリウッドで製作中との報道があり、ファンの間では話題になっている。

この報道について、同社では「事実だ。当グループは、『DDR』だけではなく、保有するIP(キャラクターなどの知的財産)をゲーム以外のさまざまな形でも世界に向けて提供できるよう、取り組みを進めている。DDRの映画化もそのひとつ。公開時期や配給地域については検討中」(広報)という。

また、映画化による同ゲームへの訴求効果については、「DDRは今年9月で20周年を迎えた。現在も『DanceDanceRevolution A(エース)』という最新機種がゲームセンターで楽しまれている。DDRは、今年で7回目を迎えたKAC(Konami Arcade Championship)というeスポーツ大会でも人気機種として競われており、今回の映画化が、20周年やKACをさらに盛り上げることにつながるのではないか」(同)と期待感を募らせる。株価は底値圏でもみ合うが、底打ち反転の機をうかがう状況にある。

ゲーム関連株は、株式市場でも急速に注目度が増す「eスポーツ」関連株としての切り口もあり、今後折に触れて物色の矛先が向かいそうだ。

今夏、話題になったのが米LEGENDARY(レジェンダリー)とサンライズ(バンダイナムコホールディングス <7832> グループ)による「機動戦士ガンダム」シリーズのハリウッド実写版共同開発の発表だった。「機動戦士ガンダム」は、1979年に日本でテレビ放送がスタート、来年で40周年を迎える、まさに国民的作品。LEGENDARYは、これまで「PACIFIC RIM」シリーズ、「GODZILLA」など数々の世界的大ヒット作品を創出しているだけに、長年の機動戦士ガンダムファンのみならず、映画関係者の期待も高いようだ。

●日の丸コンテンツ、キーマンは東宝

ハリウッドでの実写化が次々と発表されるなか、注目したいのが東宝 <9602> の存在だ。今年年初には、「海外戦略と国際共同製作プロジェクト」として、3つのプロジェクトを発表している。来年に全米公開を控える「GODZILLA 2(Godzilla: King of the Monsters、邦題未定)」をはじめ、同じく19年に全米公開予定の「DETECTIVE PIKACHU(名探偵ピカチュウ)」、16年に大ヒットした「君の名は。」(全米公開日未定)などゲーム、アニメ映画のハリウッド実写化を進めるとしている。これら以外にも、ハリウッド、中国でそれぞれ複数のプロジェクトを推進、開発中で、各案件への共同製作出資を目指すとしており今後の展開から目が離せない。

東宝では「これについて、現在のところ発表できることはない」(広報・IR)と話すが、新たにモンスターハンターについてもカプコンとともに手掛けるなど、前述したプロジェクト推進に向けて順調な姿がうかがえる。まさに東宝は、日の丸コンテンツ世界展開のキーマンといえそうだ。

同社は12日大引け後に19年2月期第2四半期累計決算を発表。連結経常利益が前年同期比20.8%減の263億5500万円に減少したが、通期の同利益を従来予想の398億円から418億円に上方修正。減益率は18.2%から14.1%に縮小する見通しとなった。株価は波乱相場のなかも堅調に推移、現在は3600円台でもみ合う展開となっている。

最後に忘れてはならないのが、コンテンツ大国ニッポンの要といえる任天堂 <7974> 。前述の東宝「3つの国際共同製作プロジェクト」のひとつで、ニンテンドー3DS用ゲームソフト「名探偵ピカチュウ」が原作となる、ポケモン初のハリウッド実写映画が来年には全米公開される予定だ。今後、公開が近づくにつれ、任天堂の株価を刺激する可能性がある。

IP戦略が重要視されるなかコンテンツを握るものが世界を制す。コンテンツ大国ニッポン、いま再び発進の時が迫っている。

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