【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆悪材料出尽くし感◆

経済
2018年10月21日 9時50分

〇多様な材料交錯、買戻し圧力も〇

週明け15日の株式市場で最も目立ったのは、朝安後、0.78%高に切り返したDAXドイツ株指数(+90.35の11614.16ポイント)。バイエルン州議会選の与党敗北は事前から予想されており、一旦、そうなった処で売り方の買戻しの動きになったと考えられる。

欧州には、ブレグジット交渉、イタリア財政問題があり、状況が好転した訳ではないが、売り方が攻勢を掛ける今の市場では「相場のアヤ」として起こり得る動きだ。売り方が囃すほど、懸案材料が金融・経済情勢を悪化させている状況でない面もある。

15日、トゥスクEU大統領は合意なき英離脱の可能性が高まっていると警告し、加盟各国は備えるよう呼び掛けるとともに最後まで希望を失わず協議を継続すると表明した。17-18日にEU首脳会議が開催され、ブレグジット交渉は大きなヤマ場を迎える。

今回の波乱のキッカケとなった米債市場は、利回りが若干上昇したが、「乱高下一服」との見方が伝えられた。10年物国債利回りは3.156%(前日3.141%)。市場を圧迫した国債入札は先週の総額740億ドルから今週は300億ドル(うち250億ドルは2ヵ月物TB)に減少。来年の利上げシナリオは若干後退している様だが、12月利上げ見通しは今のところ変化はない様だ。

底流には、米財政赤字が18年度に6年ぶりの高水準(前年度の6660億ドルから7790億ドル)がある。高関税策にも拘わらず(駆け込み的な影響?)、対中貿易赤字も8月に過去最大(中国の統計によれば9月もさらに拡大)。眠っていた米国積年の「双子の赤字」問題が頭を擡げる可能性がある。

これがおそらく「為替条項」問題に跳ね返っているのであろう。9日時点でIMM通貨先物建玉で円のネットショートが11万5201枚と今年最大規模に積み上がっており、目先、その解消圧力を招き易い。ただ、ドル円110~115円ゾーン内であれば、「円高懸念」はそう高まるものではなさそうだ。

15日のNY株はハイテク主力株主導で下落した。アップル株2.1%下落(ダウ-0.35%、ナスダック-0.88%)が圧迫、金融株やエネルギー株も下落した。ただ、値上がり銘柄数の方が多く、輸送株、公益株、主要消費財株などは上昇した。多少、買戻し相場の匂いがする。アップルは米GSが「中国の消費需要の急速な減退」を警告したことが背景。中国では9月新車販売が前年同月比11.6%減(乗用車は12.0%減)となっており、中国の消費減退が焦点になる公算があろう。

全体に下値模索ながら、反発力を試す場面も出て来ると考えられる。

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/16号)

《CS》

提供:フィスコ

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