すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 いってんがいさんの場合-3
500万円を7年で30倍に、4000万円近く溶かした大失敗からの教訓
登場する銘柄:サンフロンティア不動産 <8934>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
元公務員で現在は専業投資家。自宅の住宅ローン完済、子育てが一段落したタイミングで2011年に株式投資を本格的に開始。『会社四季報』、決算短信などの業績予想欄から割安成長株を探す投資手法でアベノミクス相場に乗り、2012年、14年には前年比2倍以上の好成績を達成。約7年で500万円を1.5億円に拡大させた。「いってんがい」は「資金を増やすにはある程度の集中投資が必要」という自身の投資スタンスを徹底するため命名した。
前回までは、集中投資を心掛けつつも、成長力があり、株価の下落リスクが限定的と思える割安株を選別していくいってんがいさんの投資手法を主に紹介した。2011年に本格投資を始めて以来、500万円の元手を約7年で30倍に拡大させた「手堅い集中投資」の具体的手法だ。
だが、そんないってんがいさんにも数千万円規模の資産を短期間のうちに溶かしてしまった苦い失敗体験もある。結果的には高過ぎる授業料を払う羽目になったわけだが、「いかなる時もあせりは禁物。自分の投資スタイルを見失わないことが大事」と自らを戒める貴重な経験となったことは間違いない。
「申酉騒ぐ」の年に起こしてしまった大失敗
その苦い失敗とは2016年のこと。日本には古くから干支を用いた各年の株式相場の特徴を表す格言がある。この年は「申酉(さるとり)騒ぐ」と言われる申年だった。その格言にたがわず株式市場は年初から連日の下落に見舞われた。1月から2月にかけては「チャイナショック」、6月末には「BREXIT(ブレグジット)ショック」と、大幅調整する局面が何度も訪れた。
ブレグジットで日経平均は、年初高値の1万8951円から6月末には約20%下押ししたが、6月を底に株価は反転、12月末には1万9000円台を回復している。結果的には、1年を通して「往って来い」の株価の動きをたどったことになる。
■2016年の日経平均株価の動き(週足ベース)
いってんがいさんも、この年に2度の大きなショックを経験。1度目は1~2月のチャイナショックによる大幅調整時だ。この時はさすがに多くの投資家がやられた時期ではあったが、問題はその「やられ具合い」だ。