【杉村富生の短期相場観測】 ─ ビッグイベントを通過、落ち着いた展開に!
「ビッグイベントを通過、落ち着いた展開に!」
●トランプ政権は通商分野では一段と過激に!
アメリカ中間選挙を通過し、7-9月期の決算発表が一巡するなど、ビッグイベントが終了、マーケットは企業業績などのファンダメンタルズを反映した落ち着いた展開となろう。
ただ、トランプ政権の政策運営は難しい。景気対策、減税などの法案は下院の民主党が民意をタテに反対するだろう。弾劾訴追(ロシアゲート)の発議もあろう。もちろん、上院での3分の2以上の賛成は不可能だ。とはいえ、議会の迷走は避けられない。これがどう影響するか。
トランプ大統領は2年後の大統領選挙(再選)を意識し、絶大な権限が与えられている外交、通商、軍事分野では一段と過激に走る可能性がある。
これは同盟国である日本にとって、歓迎すべきことばかりではない。特に、円高圧力は強まるだろう。自動車に20~25%の関税を、と言い出すこともあり得る。自動車各社はアメリカ工場を新設、ないしは増強するしかない。さらに、農産物の輸入増を求められるだろう。
●株価水準はPER12倍台と底値ゾーン!
日本の株式市場はどうか。外国人は今年1~10月に現物を4兆3253億円、先物を6兆1863億円、計10兆5116億円売り越した。この結果、日経平均株価は10月26日に、2万0971円のザラバ安値をつけた。まあ、泣く子と需給には勝てない、ということか。
しかし、2019年はこんな集中豪雨的な売りはないだろう。アメリカの「一人勝ち」はねじれ議会の出現によって、徐々に変わると思う。国際マネーは本来の地域分散投資に目を向けるのではないか。そのターゲットに出遅れの日本市場はなり得る。
なお、現在の日経平均の1株利益(予想ベース)は1773円だ。拡大ペースが加速している。2万3000円は大きなカベになっているが、この水準のPERは12.97倍である。
経験則的には底値ゾーンだ。もちろん、一度はこじれた相場である。それに、トランプ政権の動向がいまひとつ読めない。したがって、この局面は外部環境、外国人(先物)の動きに影響を受けにくい銘柄にマトを絞った投資戦術をお勧めする。
具体的には好業績のヨコオ <6800> 、ジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> 、NISSHA <7915> 、ヴィンクス <3784> 、リンクバル <6046> [東証M]などに妙味があろう。
短期・順張りは徹底して値動きを追う、強い銘柄を攻める。これがセオリーだ。総花的な相場だからこそ、銘柄を広げず、マトを絞る慎重さが求められる。
2018年11月8日 記
株探ニュース