新興市場見通し:商い細り小型株選好、IPOは12月案件発表と霞ヶ関C上場
先週の新興市場では、マザーズ指数が比較的堅調に推移した。マザーズ時価総額上位のサンバイオ<4592>などが買われ、指数を押し上げた。ただ、海外株安を嫌気して日経平均は節目の21500円を割り込む場面があり、新興市場でも積極的に上値を追う動きは乏しく、マザーズ指数は25日線をやや上回る900pt台半ばから後半でのもみ合いが続いた。マザーズ売買代金も700億円を下回る日が多かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.2%であったのに対して、マザーズ指数は+1.2%、日経ジャスダック平均は+0.3%だった。
個別では、前述のサンバイオが週間で10.0%高、MTG<7806>が同4.7%高となる一方、メルカリ<4385>が同3.0%安、ミクシィ<2121>が同2.0%安とマザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。サンバイオは再生細胞薬への期待が、MTGは決算評価の動きが続いた。売買代金上位ではALBERT<3906>やバンク・オブ・イノベーション<4393>が買い優勢で、光通信<9435>との資本業務提携を発表したアクトコール<6064>や東証1部への市場変更等を発表したグローバル・リンク・マネジメント<3486>が週間のマザーズ上昇率上位に顔を出した。一方、決算発表後に材料出尽くし感が広がったシェアリングテクノロジー<3989>などは売られ、テックポイント・インク<6697>が下落率トップとなった。ジャスダック主力ではセリア<2782>が同5.3%高、ワークマン<7564>が同6.7%高と堅調だった。週末にかけて内需系の小売株として買い戻しが入ったようだ。売買代金上位では子会社のキャッシュレスシステムに関する提携が材料視されたジャストプランニング<4287>が大きく買われ、KYCOMHD<9685>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。反面、メイコー<6787>などが軟調で、筆頭株主である三菱商事<8058>の保有株を公開買付け(TOB)で取得するフルヤ金属<7826>が下落率トップだった。
今週の新興市場では、全体として上値の重い展開が続きそうだ。11月30日からの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて行われる米中首脳会談を前に、新興市場でも積極的な買いは手控えられている。マザーズ売買代金は低調で、物色の対象は少額の資金でも値の動きやすい小型株や需給良好な銘柄に限られそうだ。12月のIPOラッシュに備える動きも出てくるとみられ、マザーズ指数の本格的なリバウンドは当面期待しづらい。
25年の国際博覧会(万博)を大阪で開くことが決まり、20年の東京オリンピック・パラリンピックに続くビッグイベントとして株式市場でも物色材料となりそうだ。新興市場ではオンライン旅行会社のアドベンチャー<6030>などか。日米で年末商戦への期待が高まっており、ロコンド<3558>といった小売株の動向も注視したい。なお、今週は11月30日に東和フードサービス<3329>、はてな<3930>、ACCESS<4813>などが決算発表を予定している。
IPO関連では、11月28日に霞ヶ関キャピタル<3498>がマザーズへ新規上場する。同社は太陽光発電等を手掛け、事業環境の先行きに懸念を示す向きもある。しかし足元の業績は伸びており、公開規模も小さいため初値期待は高いようだ。なお、先週はレオス・キャピタルワークス<7330>(12月25日、マザーズ)など3社の新規上場が発表されており、12月のIPO件数は計19社となった。
《FA》
提供:フィスコ