大塚竜太氏【下値模索続く日経平均、波乱相場への対処法】(1) <相場観特集>

特集
2018年12月10日 18時30分

―どこまで続く米中貿易摩擦の影響、年末年始の展望は―

東京株式市場は11月下旬に日経平均株価が7連騰と上値指向を強めていたが、師走相場に入ると米国主導で波状的な売りがかさみ、再び下値模索ムードを強めている。週明け10日も日経平均は急反落となった。米中貿易戦争の余波が実体経済に及ぶことへの警戒感が強い。投資家は足もとの相場とどう対峙すべきか、ベテラン証券関係者2人に当面のマーケットの見通しについて見解を求めた。また、ここ円高基調にある為替についても専門家に意見を聞いた。

●「年末までに2万2000円台回復の公算」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

全体相場は米中貿易摩擦問題の再燃を嫌気して大きくリスクオフに傾いているが、値動きは荒くてもボックス相場の往来であって、大勢トレンドが下降転換したわけではない。行き過ぎた不安心理の修正が早晩戻り足に反映されるだろう。目先は日経平均2万1000円大台攻防の様相だが、ここを仮に下回る場面があれば絶好の買い場提供と強気に構えたい。日経平均は上にも下にもアルゴリズム売買の影響が大きく、売り物が切れてリバウンド局面に入れば、上値が軽いことは証明済み。年末までに2万2000円台を回復している可能性は十分にある。

米国の長期金利上昇が懸念されていたかと思えば、今度は一転して長期金利の低下と逆イールド(長短金利の逆転)が相場下落の背景となっている。米中貿易摩擦が“冷たい戦争”の様相を帯びるなか、実勢経済への影響が懸念されているわけだが、思惑先行の部分が強い。後講釈のメディアに振り回されがちだが、実際、数週間単位で米中間の関係がころころ変わるようなことはない。

ファーウェイのCFO逮捕は確かにネガティブサプライズだったが、これをもって全体相場が崩壊するようなインパクトで語られるのは間違い。米中ともにお互いの経済デメリットが鮮明化する前の段階で折り合うだろうし、今もその方向で進んでいると思われる。中国の景気減速も想定内。当局は課税の対象となる所得水準を引き上げるなどの措置や、インフラ投資など経済活性化に傾注しており、これからその効果が出てくると思われる。

米国では、トランプ米大統領は2020年の大統領選挙に向け米景気をリセッションに追い込むようなことは是が非でも避けたいはず。景気悪化を前提とした米長期金利の低下は中長期的なものではない。遅かれ早かれ下げ止まる局面がくるはずだ。

当面は輸出株よりも内需系の銘柄が優位。企業のIT投資に絡む銘柄やキャッシュレス決済がテーマ化している消費関連や国土強靱化や万博特需が見込める建設関連などに照準を合わせたい。また、年末年始相場は新興市場銘柄が活躍しやすい地合いでもある。ジャスダック市場、マザーズ市場についていえば、いずれも全体売買代金のうち過半を個人投資家が占め、これは外国人投資家を上回る。来週以降は海外筋がクリスマス休暇に入ることもあり、売り仕掛け的な動きも封印されそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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