山内俊哉氏【下値模索続く日経平均、波乱相場への対処法】(2) <相場観特集>
―どこまで続く米中貿易摩擦の影響、年末年始の展望は―
東京株式市場は11月下旬に日経平均株価が7連騰と上値指向を強めていたが、師走相場に入ると米国主導で波状的な売りがかさみ、再び下値模索ムードを強めている。週明け10日も日経平均は急反落となった。米中貿易戦争の余波が実体経済に及ぶことへの警戒感が強い。投資家は足もとの相場とどう対峙すべきか、ベテラン証券関係者2人に当面のマーケットの見通しについて見解を求めた。また、ここ円高基調にある為替についても専門家に意見を聞いた。
●「110円前後の円高基調も、FRBは利上げいったん休止か」
山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)
年末年始を含む今後1ヵ月程度の為替相場は、1ドル=110円台も視野に入れるドル安・円高基調を想定している。
第1のポイントとしては、米連邦準備制度理事会(FRB)は12月あるいは1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、いったん利上げ休止の姿勢を打ち出してくる可能性があることだ。12月のFOMCでは利上げは行われるだろうが、ドットチャートや声明で利上げの一時休止が示唆されることはあり得る。米国の政策金利は3.0%前後の中立金利に近づきつつある。その一方、経済指標の先行き見通しには弱めの数値も出始めている。19年は3月頃に1回程度の利上げもあり得るが、それで一時打ち止めとなることも見込める。
第2には、来年1月からの日米両国による「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉で米国は為替条項の導入などに向け踏み込んだ姿勢を示すことも予想される。新年から米国はねじれ国会に入り、下院は民主党が過半数を制することになる。トランプ米大統領は、主導権を持って進められる貿易交渉で貿易赤字削減の実績を得たいと考えるだろう。
関税引き上げの90日間の猶予期間に入っている米国と中国の交渉がどこまで進むかは不透明であり、実績を求める米国は欧州や日本へ圧力を強めるかもしれない。
こうしたなか、来年1月末までのドル円は1ドル=110円00~114円00銭のレンジを見込んでいる。トレンドはドル安・円高だろう。
ユーロは対ドルで、1ユーロ=1.11~1.16ドル前後を見込む。イタリアの動向が注視されるが、基調は緩やかなユーロ高とみている。ブレグジットの動向が注視される英国ポンドは、今後の状況次第だが、厳しい状況が続くことを想定している。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。
株探ニュース