大谷正之氏【下値模索続く日経平均、波乱相場への対処法】(3) <相場観特集>
―どこまで続く米中貿易摩擦の影響、年末年始の展望は―
東京株式市場は11月下旬に日経平均株価が7連騰と上値指向を強めていたが、師走相場に入ると米国主導で波状的な売りがかさみ、再び下値模索ムードを強めている。週明け10日も日経平均は急反落となった。米中貿易戦争の余波が実体経済に及ぶことへの警戒感が強い。投資家は足もとの相場とどう対峙すべきか、ベテラン証券関係者2人に当面のマーケットの見通しについて見解を求めた。また、ここ円高基調にある為替についても専門家に意見を聞いた。
●「底打ち感出れば年末高に向け反転上昇も」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
東京株式市場は、12月に入って下げが加速する地合いとなっているが、現状で考えられるベストシナリオは、今週中にSQ(特別清算値)算出前の波乱展開を克服して底打ち感が出れば、年末高につながる勢いが出てくる展開も予想される。10月26日につけた安値2万971円93銭を下回らずに底打ち反転上昇となれば、ダブルボトム形成で上昇に拍車が掛かるケースもある。
国内景気は足元でやや減速傾向はあるものの、依然としてプラス成長を維持しており、日経平均のPERが12倍近辺に低下するなど株価は極めて割安水準となっている。大きく売り込まれた水準にあるだけに、米中貿易交渉のなかでプラス材料が飛び出せば、株価が大きく戻る可能性もある。また、外国為替市場での円相場が1ドル=112~113円台で比較的安定した推移をみせていることも、株価にとっては追い風だ。
個別銘柄では、内需系の銘柄から今後の年末年始商戦での活躍が期待できる百貨店首位の三越伊勢丹ホールディングス <3099> に注目したい。6月12日に年初来高値をつけていることから、信用取引の高値期日明けに伴い株式需給の改善も見込まれる。更に、日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]も見逃せない。11月度の月次動向で、既存店売上高が前年同月比4.1%増と36ヵ月連続で前年実績を上回るなど好調を維持している。全体相場が10月以降下落トレンドとなるなかでも、マクドナルドの株価は頑強にジリ高歩調を堅持している。
原油価格上昇に伴う原材料高などで18年12月期の利益が圧迫されているブリヂストン <5108> は、このところの原油価格の急速な低下に伴い、19年12月期の業績急回復期待が高まっている。それを先読みしてか、株価は25日線を割り込まずに頑強な推移となっている。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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