田部井美彦氏【崩落相場へ突入か? 日経平均1000円安の先】(3) <相場観特集>
―2万円大台割れで下げ加速局面に、ここからの展望は―
週明け25日の東京株式市場は一気に下げが加速、日経平均株価は1000円を超える下落となり2万円大台はおろか、1万9000円台割れも視野に入れる暴落となった。米国株市場では世界景気の減速懸念に加え、トランプ米大統領による政権運営の先行きに対する不安も浮上、弱気相場入りの様相を強めている。為替が急速にドル安・円高に振れていることもあって日本株への逆風はこれまでになく強い。2019年相場に向け、投資家はどういうスタンスで臨めばいいのか、先読みに定評のあるベテラン市場関係者の意見を聞いた。
●「来年前半の株式相場は厳しい展開を想定」
田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)
来年前半の東京株式市場は、厳しい展開を想定している。米中貿易摩擦による輸入製品の関税強化などに端を発した世界景気の後退現象が、日本の企業業績にもマイナス影響を与えることを見越して、10月以降の日経平均は反落基調に転じ、12月半ばから下げが加速している。
当面の注目は、新年1月下旬から始まる3月期決算企業の第3四半期累計(4-12月)決算と通期業績見通しの内容だ。株価の大幅下落や、外国為替市場での急激な円高・ドル安進行が景気にマイナスに作用することを考慮して、企業サイドは決算や業績見通しを保守的に修正してくる可能性が濃厚となってきた。
現状は、トランプ米大統領の政権運営の不安定さが、投資家の先行き懸念を増幅させる結果となっている。メキシコ国境の壁建設予算を巡り野党民主党と対立したことで連邦政府は一部閉鎖に追い込まれ、シリア問題を巡る対立でマティス国防長官が退任する事態となっている。さらに、トランプ氏は株価急落の責任を米連邦準備制度理事会(FRB)だけに転嫁し、パウエル議長の解任検討まで報じられている。ただ、年明け以降、米議会が再開されれば、野党の発言も伝えられるようになり、トランプ氏の発言だけに株価が反応する傾向にもやや落ち着きが出てくることになりそうだ。
きょうの日経平均は1000円を超える急落となったが、業種別でみると、医薬品、水産・農林、情報・通信、サービスなど比較的ディフェンシブな銘柄群が一段安となった。10月以降の下落相場のなかでも比較的頑強な値運びをみせていたセクターも売りの対象となったことで、売り一巡感が出てくる可能性もある。全体相場が反転上昇に転じた際には、電子決済や5Gなどに関連した設備投資関連の銘柄がリード役となりそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。
株探ニュース