植木靖男氏【崩落相場へ突入か? 日経平均1000円安の先】(1) <相場観特集>

特集
2018年12月25日 18時30分

―2万円大台割れで下げ加速局面に、ここからの展望は―

週明け25日の東京株式市場は一気に下げが加速、日経平均株価は1000円を超える下落となり2万円大台はおろか、1万9000円台割れも視野に入れる暴落となった。米国株市場では世界景気の減速懸念に加え、トランプ米大統領による政権運営の先行きに対する不安も浮上、弱気相場入りの様相を強めている。為替が急速にドル安・円高に振れていることもあって日本株への逆風はこれまでになく強い。2019年相場に向け、投資家はどういうスタンスで臨めばいいのか、先読みに定評のあるベテラン市場関係者の意見を聞いた。

●「目先は反発局面近い、中期では下値リスク意識」

植木靖男氏(株式評論家)

全般はヘッジファンド筋のドテン売り(空売り)なども加わり総悲観ムードにあるとはいえ、半ばパニック的な下げの要素も強く、早晩リバウンド局面に入ることが予想される。ムニューシン財務長官がゴールドマン・サックスやJPモルガンなど大手金融機関の幹部と電話協議をしたことが伝わったが、これが足もとはマーケットの不安心理を増幅させる逆効果となったものの、冷静に考えれば何らかの政策的な動きが出てくる伏線ともなり、反騰に向けた足掛かりとなる可能性がある。

日本でも麻生財務大臣などがこのまま無為無策の構えを続けるとは思えず、場合によっては日米協調スタンスでの政策アナウンスが出てくることも考えられる。70%を下回る騰落レシオなどテクニカル指標をみても今は陰の極だ。個人投資家の追い証ラッシュも目先一巡することが予想されるほか、きょうは月内最終売買日で駆け込みの節税目的の投げ売りも観測されている。つまり、あす以降は需給関係が改善することが想定され、ここは強気に逆張りで対処していいタイミングではないかと考えている。

ただし、中長期トレンドは下向きに変わっている。2008年のリーマンショック後の2009年から約9年間にわたる長期上昇トレンドはいったん終局を迎えている公算が大きい。米国では今秋を境にFRBの資金供給が減少に転じ、欧州も今後、金融引き締めに入る方向にある。一方、日本では日銀に金融政策の選択肢は残されていない。今は長期上昇波の余熱があり、さらに急勾配を転げ落ちるような下げは見込みにくいとはいえ、流動性相場が逆回転をはじめた初動にあることは確かで、リバウンド局面を交えながらも来年前半は漸次水準を切り下げる波動を形成するのではないか。

企業業績が全体相場の拠りどころとなっていたが、米国を主軸とする通商摩擦問題の弊害や、株安がもたらす逆資産効果などを考えれば、来年は減益決算への流れを織り込まざるを得なくなりそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(うえき・やすお)

慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SMBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。

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