大塚竜太氏【節分天井? 強調展開続く東京市場の行き先は】(1) <相場観特集>

特集
2019年1月15日 18時30分

―買い手不在とみられた環境下でも意外に強い日経平均―

15日の日経平均株価は続伸となり、心理的なフシ目の2万500円台を上回ってきた。中国経済や英国のEU離脱問題など外部環境は依然として不透明で、下値リスクに対する懸念も拭い切れない状況だが、目先は円安を味方につけて予想以上に足腰の強い地合いとなっている。1月相場も後半に入り、“節分天井”に向けた思惑も募るところだが、第一線で活躍する市場関係者の目にはどう映っているのか。全体相場の見通しと物色の方向性について聞いた。

●「当面ボックス圏推移、FANG株の動向が鍵を握る」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

3連休明け15日の東京市場は中国の景気減速懸念や英国のEU離脱(ブレグジット)に関する不透明感などから下値を探るとの見方が強かったが、実際は買いが優勢となった。為替のドル高・円安がプラス材料となったとの見方もあるが、それだけではない。今の相場はCTAによる高速自動売買の影響もあって、なかなか一筋縄では読み切れない地合いといえる。注意しておきたいのは、日経平均が下値を探っている時に過度に弱気にならず冷静さを失わないこと。当面はボックス圏での推移が想定され、仮に戻り局面でも焦って追随買いを入れず、全体の流れを見ながら機動的なスタンスで対処するのが望ましい。現在の外部環境に大きな変化がなければ、日経平均はしばらくの間2万円から2万1000円のゾーンを基本とする往来圏を想定している。

きょうは取引時間中に外国為替市場でドルが買い戻され、輸出株に有利に働いたほか、中国・上海株市場や香港株、韓国株などアジア株が軒並み高かったことがポジティブに作用した。中国の景気減速懸念については、貿易統計などでその方向性が確認されたとはいえ、株式市場はかなり目が慣れてきているのも事実、ここからは中国政府による経済対策への期待が反映されやすい時間軸にある。また、ブレグジットは悪材料であることに変わりないものの、大方が予想しているほど世界経済に悪い影響を与えることはないとの見方も一部で強まっている。株式市場に逆風となる材料も、それが時価にどこまで織り込まれているかを常に意識しておくことは大切だ。例えばきょうのように空売り筋が先物にショートカバーを入れるような売り方主導の上げ相場で、トレンドフォローの高速自動売買がその流れを後押しするようなケースも少なくない。

ファンダメンタルズ面からは、足もとは米国企業の決算を横目に全体地合いが左右されやすい。また、今月下旬から本格化する国内企業の決算発表にマーケットの関心が高いことはいうまでもない。物色の矛先は自ずと内需の好業績株に向かうことになりそうだ。一方、米国ではFANG株などプラットフォーマーの株価位置の妥当な水準を模索する動きが続いている。FANG株の下げに対する恐怖感が解消されれば、日米ともに全体相場も安定感を取り戻しそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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