【杉村富生の短期相場観測】 ─ 日本株が出遅れているのは明白な事実だが…!

市況
2019年2月3日 9時15分

「日本株が出遅れているのは明白な事実だが…!」

●なぜ、割安なのに外国人は買ってこないのか?

日本の株式市場(株価)は表面的に、大きく出遅れている。これは明白である。1月30日のNYダウ は2万5014ドル、日経平均株価 は2万0556円だった。あくまでも単純比較だが、約4500ポイント開いている。歴史的には1対1の水準が望ましい。中・長期的にはこの修正(日経平均株価がNYダウを追う)があろう。そのためには外国人の参戦が不可欠だが…。

PER、PBRでは日経平均株価のPERが11.9倍、PBRが1.09倍なのに対し、NY市場は各15.3倍、2.81倍だ。ちなみに、日経平均株価のEPS(1株利益)は1772円(予想ベース)、BPS(1株純資産)は1万8859円である。

仮に日経平均株価をNY市場並みに評価すると、PERでは2万6347円、PBRでは5万2994円となる。いや~、すごい話じゃないか。しかし、相場はそんなに簡単なものではないし、外部環境の違いがある。出遅れるにはそれなりの理由があろう。ただ、出遅れているのは十分に理解できる、と思う。

さらに、ブラックマンデー(1987年10月19日)時のNYダウは1738ドルだった。これが昨年10月3日に2万6828ドルの高値をつけ、15.4倍になっている。一方、日経平均株価はどうか。1987年10月20日は2万1910円だった。いやはや、まったく上昇していないではないか。

●イノベーションが日本を救う、株高の原動力に!

これこそが「失われた30年」の“通信簿”だろう。アメリカは大きく変わった。アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックスなどIT系の巨大企業が次々に登場した。一方、日本は産業構造の転換が遅れた。これが日米の株価の差に反映されている。

しかし、日本はようやくイノベーション(技術革新)に目覚めた。第4次産業革命(キーワードはCAMBRIC/キャンブリック ※編集部注)、Society5.0の推進が好例だろう。とりあえず、5G(次世代通信網)が世界的に評価されるはずだ。なにしろ、2020~2035年には400兆円近い巨費(世界ベース)がこの分野に投じられる、という。

NEC <6701> 、アンリツ <6754> 、ネットワンシステムズ <7518> は中・長期的にメリットを享受するだろう。ともに、業績は好調だ。NECは構造改革が進展、M&A戦略が寄与し、成長軌道に乗りつつある。

小物ではアルチザネットワークス <6778> [東証2]、サイバーコム <3852> 、ネクストジェン <3842> [JQG]などに注目できる。

なお、全般相場については日本株の出遅れを否定しないし、弱気になる必要はないが、パウエル・マジックは(NY市場の)株高・ドル安を狙っている。2016年2~3月のイエレン・マジックと同じだ。すなわち、円高圧力である。外国人がなぜ買ってこないのかを含め、これには注意を要する。

2019年1月31日 記

※編集部注:「CAMBRIC/キャンブリック」

C(クラウドコンピューティング)、A(AI)、M(モビリティ)、B(ビッグデータ)、R(ロボティクス)、I(IoT)、C(サイバーセキュリティ)の頭文字をとった7つのカテゴリーの総称。

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