【植木靖男の相場展望】 ─ 目先調整も上昇途次の中休みか
「目先調整も上昇途次の中休みか」
●先行き混沌とする米中協議
膠着状態にあった株価も、さすがに疲れが出てきたのか息切れをみせ始めた。
2万1000円がかくも厚い壁であったのかと痛感させられる。
2万1000円は昨年10月末にかけて下値抵抗線となっていた水準だけに、心理的にも大きなフシであるに違いない。
では、理屈はどうなっているのか。10~12月の3ヵ月の下落は定石であるが、その後の反発は自律的ということもあるが、材料的にも2つの後押し材料が顕在化したことによる。
ひとつは、米中貿易協議への期待であり、いまひとつは株価下落に背中を押されて、FRBが金融引き締めに急ブレーキをかけたことだ。
これらの材料は確かに株価を押し上げるには十分な好材料である。とはいえ、株価へのパンチ力は時が経つにつれ、徐々に織り込まれていくのは宿命である。
逆に、米中貿易協議はむしろ先行き混沌としてきたようだ。
さらに、期待していた企業業績も10-12月決算発表で相次いで下方修正が広がるといった懸念材料が表面化しつつある。日本電産 <6594> の永守社長が語った、中国企業の受注減などで昨年11月と12月の売り上げが急減、“この変化は尋常でない”―この発言は象徴的である。
●立ち直りには米株反発が必須
さて、株価は今後どう展開するとみたらよいか。
2月7日の急落で調整局面を迎える確率は60%程度、そして週末、陰線をみせるようであれば80%の確率で、当面調整入りが濃厚だ。
だが、年明け後の自律反発が3月頃まで持続するとすれば、ここでの調整はそれほど大きくなるとは思えない。いわゆる中休みである。瞬間2万円割れあたりか。とはいえ、立ち直るには何らかのきっかけ材料が必要である。
それはやはり米国株価の反発であろう。だとすると、急転直下、米中首脳会談が決まる、あるいはあの手この手でトランプ大統領が民主党とウインウインの格好で予算問題で合意する、FRBが明確に金融緩和に舵を切る、などの好材料が欲しいところだ。
こうしたもやもやした問題に時間を費やすうちに、世界経済減速という最悪の材料が足早に迫ってくるような予感がする。
ところで、ここへきてソフトバンクグループ <9984> の急騰が際立ってきた。その要因は自社株買いである。この例からみて、今後、株価反転の材料は、企業業績が期待できないだけに、ひとつの大きな好材料の流れになる可能性があろう。
春相場に向けての物色は、自社株買い銘柄のほか、中期的には含み資産株、金関連株などが新しく台頭してくるのではないだろうか。
ますは、ソフトバンクグループ、ソニー <6758> 、富士フイルムホールディングス <4901> などに注目したい。
2019年2月8日 記
株探ニュース