NYの視点:米Q1GDP予想、2%前後の成長に引上げ、利下げ観測も若干後退へ
米供給管理協会(ISM)が発表した3月ISM製造業景況指数は55.3と、2年ぶりの低水準となった2月54.2から回復した。特に雇用の改善が全体指数を押し上げた。主要項目である新規受注は57.4と、2月の55.5から上昇。雇用は57.5と、4カ月ぶりに上昇し2018年11月来の高水準を記録し労働市場が引き続きひっ迫している証拠となった。一方で、輸出:51.7(52.8)、輸入:51.1(55.3)それぞれ前月から低下し、2年ぶり低水準となった。対中貿易摩擦が引き続き影響し、成長を抑制している証拠となった。
ISMの製造業調査委員会のフィオーレ委員長は米国経済が比較的安定し、健全で均衡した環境にあると楽観視しており、年内の2.1-2.5%成長を支持するとの見通しを示した。市場には多くの混乱が見られるがPMIの結果では、成長が拡大。2018年と同じペースではないが理に適うペースでの成長を予想していると述べた。
一方、米商務省が発表した2月小売売上高は前月比-0.2%と予想外のマイナスに落ち込んだ。悪天候が影響し建材(-4.4%、2012年4月来で最大の減少率)や食料雑貨(-2.3%)の売り上げが冴えず、全体指数に影響した。2月に北部、北東部は歴史的大雪に見舞われたほか、東南部は歴史的な雨量を記録。
国内総生産(GDP)の算出に使用される自動車・建材・給油・食品を除いたコントロールグループは-0.2%と、やはり予想外に12月来のマイナスを記録した。ただ、1月分は1.7%に上方修正され、2001年10月以降ほぼ17年ぶり高い伸びを示し、まちまちの結果となった。
1-3月期GDPは平均で1.5%前後の成長が予想されている。米商務省と類似したモデルを使用しているとして度々注目されるアトランタ連銀の予想では1-3月期GDPで+2.13%を見込んでいる。3月前半時の見通しはわずか+0.2%にとどまっていた。1-3月期の実質個人消費支出の伸びが+0.5%から+0.6%へ小幅引き上げられたほか、総民間国内投資は+4.3%から+5.4%へ引き上げられた。政府支出も+2.6%から+3.5%へ引き上げ。
バークレイズ銀は1-3月期GDP見通しを+1.7%から+1.8%へ引き上げ。ゴールドマンサックスは+0.8%から+1.2%へ引き挙げた。米金利先物市場での12月までの利下げ確率も70%近くから62%へ小幅低下した。
■3月ISM製造業景況指数
景気指数:55.3(2月54.2)
仕入れ価格:54.3(49.2)
生産:55.8(54.8)
新規受注:57.4(55.5)
受注残:50.4(52.3)
入荷遅延:54.2(54.9)
在庫:51.8(53.4)
顧客在庫:42.7(39.0)
雇用:57.5(52.3)
輸出:51.7(52.8)
輸入:51.1(55.3)
《CS》
提供:フィスコ