米国株式市場見通し: 1-3月期決算シーズンに突入
先週はトランプ大統領と中国の劉副首相が会談したものの、月内には貿易摩擦問題の解決に至らないことが明らかとなった。しかし協議自体は進展していることから投資家心理には影響を与えないと見られる。また英国政府はEU離脱期限の再延期を申請した。EU側からの反発が予想されるが、事態が大きく悪化するとは考えにくい。このように国際政治面の緊張が緩和していることもあり、投資家の注目は1-3月期決算発表と経済指標に移るだろう。
今週は10日にFOMC議事録が公表される。3月のFOMCでは賛成多数で政策金利が据え置かれ、インフレ圧力の緩和や経済成長の後退を受けて19年度の利上げ見通しをゼロに引き下げた。その影響から、米国債イールドカーブ(長短金利差)が一時再び逆転したことから世界経済減速への警戒感が広がった。トランプ大統領はFRBへの利下げ圧力を強めているが、今後の利下げ可能性について何らかの議論がなされたのか注目したい。
決算発表では航空大手のデルタ航空(10日)、家庭用品小売のベッド・バス&ビヨンド(10日)、ドラッグストアのライト・エイド(11日)、大手行のウェルズ・ファーゴ、JPモルガンチェース(12日)などの発表が予定されている。ボーイング製小型旅客機「737 MAX 8」の墜落事故を受け、米国を含む世界各国で同機の運航停止の動きが広がったが、デルタ航空は従来機を使用していることから、他社からの顧客流入による業績拡大が予想される。
経済指標では、2月製造業受注(8日)、3月消費者物価指数(10日)、3月生産者物価指数(11日)、3月輸入物価指数(12日)などの発表が予定されている。今週は、生産者物価指数や消費者物価指数などインフレ関連指標が多く発表されるが、雇用統計に改善が見られたこともあり、注目を集めそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ