新興市場見通し:マザーズ急落で需給重視の銘柄選別に、IPOではヴィッツ上場

市況
2019年4月6日 14時44分

先週の新興市場では、週前半にマザーズ指数が急落する場面があった。バイオ関連株を中心に、個人投資家からの人気が高かった銘柄に機関投資家などの仕掛け的な売りが出たとみられる。信用買いを入れていた個人投資家の損失限定の売りを巻き込み、これら銘柄は大きく値を崩した。その後日経平均が堅調に推移したこともあり、マザーズ指数はひとまず下げ止まった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+2.8%であったのに対して、マザーズ指数は-4.1%、日経ジャスダック平均は+0.5%だった。

個別では、オンコリスバイオファーマ<4588>、アンジェス<4563>、窪田製薬HD<4596>といったマザーズのバイオ関連株が軒並み急落。オンコリスの週間下落率は5割近くに達した。やはり直近上昇の目立っていたASJ<2351>やAmidAHD<7671>、業績下方修正を発表したMTG<7806>も大幅安。またマザーズ時価総額上位ではメルカリ<4385>、売買代金上位ではALBERT<3906>などが軟調だった。一方、バイオ関連株ではそーせいグループ<4565>が逆行高となり、直近IPO銘柄の日本ホスピスHD<7061>も堅調。フェニックスバイオ<6190>は高尿酸血症モデル動物に関する発明の特許取得が材料視され、週間のマザーズ上昇率トップとなった。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が機械株高の流れに乗り大きく上昇。ただ日本マクドナルドHD<2702>やワークマン<7564>は売り優勢だった。売買代金上位ではUTグループ<2146>やフェローテックHD<6890>が堅調で、業績上方修正を発表したレイ<4317>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。反面、3月にリリースしたゲームのメンテナンスが長期化している日本一ソフトウェア<3851>などが下落率上位に顔を出した。IPOでは、エードット<7063>とWelby<4438>が上場2日目に入りそれぞれ公開価格の約2.2倍、約3.5倍で初値を付けた。4月3日上場の東名<4439>もしっかりした初値形成となった。

今週の新興市場では、マザーズ指数はもみ合い基調になるとみられ、個別物色中心の相場展開が見込まれる。マザーズ指数急落後も値を飛ばす個別材料株が散見され、個人投資家の物色意欲は引き続き根強いと考えられる。しかし、株価トレンドや需給が大きく崩れた銘柄や、なお信用買い残が高水準の銘柄も多い。需給面で銘柄選別色が強まりそうだ。

今週は、4月11日にSHIFT<3697>、チームスピリット<4397>、12日にウエストHD<1407>、フィル・カンパニー<3267>、UUUM<3990>、サインポスト<3996>、リックソフト<4429>、ロゼッタ<6182>などが決算発表を予定している。リックソフトは今年2月の上場後、初めての決算発表となる。第3四半期決算発表のUUUMなどは業績の高い伸びが続くか注目されるだろう。なお、11日には安川電機<6506>の決算発表があり、ハーモニックなどの関連銘柄にも影響を与えそうだ。

IPO関連では、4月8日にヴィッツ<4440>がマザーズへ新規上場する。同社は組込みソフトウェア開発などを手掛けており、パナソニック<6752>グループやトヨタ自動車<7203>グループを主要顧客とする。公開規模も荷もたれ感のない水準で、初値期待が高まっているようだ。なお、その次のIPOは24日のハウテレビジョン<7064>上場となる。

《FA》

提供:フィスコ

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