燃料電池車でプラチナは需要増加!?~もっと知りたい商品先物取引

市況
2019年4月24日 17時05分

みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。「貴金属の王様」と言われると、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?「王様」という高貴なイメージから考えてみると、王冠に使われそうな金でしょうか?ちなみに私はダイヤモンドだと思いました。実は、この尊称を持つのは白金(プラチナ)なのです。ジュエリー界の巨星ともいわれるルイ・カルティエによってこう呼ばれたとか。白金といえば結婚指輪やその他のアクセサリーにも多く使われていますよね。個人的に、白金の細身のアクセサリーは繊細な印象で素敵だと思っています。

■白金の需要は宝飾品としてだけではない

そんな白金は、私を含む多くの日本人のイメージとは異なるのですが、宝飾用よりも産業用素材として多く使われています。とりわけディーゼル車の排ガスを浄化する際の触媒としての需要が多く、世界的な大手化学企業で自動車用触媒も生産しているジョンソン・マッセイ社によると、2018年の白金需要243.4トンのうちおよそ4割が自動車用触媒とのこと。宝飾需要は全体の3割程度なのです。ですから白金の価格は触媒需要、もっと言えば、自動車の生産台数の変化に敏感に反応するのですね。その白金価格は今年の2月下旬以降、徐々に水準を切り上げています。東京商品取引所(TOCOM)の先物価格を見ると、2月には1グラムあたり2,780円ほどでしたが、4月には3,280円程度と2割近く高くなっています。今後も引き続き白金相場が押し上げられるとしたら、その要因は何なのかを一緒に見てまいりましょう。

■中国が2030年には燃料電池車100万台生産すると計画

中国は世界の自動車生産の3割を占める自動車大国です。その中国は先ごろ、白金を触媒として使う燃料電池車の生産数を、2030年には年間100万台に増やすとの計画を発表しました。燃料電池車は、まるで「発電所を積んだ車」です。「発電所」では、水素と酸素をあわせて電気と水を発生させます。この化学反応を促す物質、つまり「触媒」として使われているのが白金なのです。燃料電池車が増えれば、その分白金の需要も増加しますよね。ちなみに、その分水素を供給する場所も必要になってきるので、中国の「New Energy Vehicle」計画では、全土で水素ステーションを構築すると伝えられています。なお、燃料電池は中国の新しいエネルギー自動車の重要な分野とされており、すでに長距離走行が公共機関で実施されているそうです。国家的に期待している分野だからこそ大胆な計画が立てられるのですね。

■中国の計画による具体的な需要は?

それでは、もし中国が燃料電池車の計画を実行した場合、白金にどれくらいの需要が生じるのでしょうか?2030年には年間32万オンス(約10トン)の白金需要が生じる見通しです。ちなみに、2018年の白金の総需要は年間243.4トンですから、10トンの需要増は決して小さな数字ではありません。こういった要因に注目しながら値動きをウォッチしていきたいですね。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ

《HT》

提供:フィスコ

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