高橋春樹氏【“令和相場”初日に「セル・イン・メイ」のつむじ風】(2) <相場観特集>
―米中摩擦懸念の再燃で予想外の下げ、ここからの展望は―
10連休明けで令和相場のスタートとなった7日の東京株式市場は、米中貿易摩擦が再燃するなか、一時380円を超える予想外の下落を強いられた。大型連休前は米中両国間の貿易交渉が順調に進展しているとみられていただけに、ここにきてのトランプ米大統領による関税引き上げ表明はネガティブサプライズを与える格好となった。「セル・イン・メイ(5月に売れ)」の相場格言も想起されるなか、ここで投資家が取るべきスタンスは。第一線で活躍する市場関係者に今後の見通しを聞いた。
●「日経平均は2万2000~2万3000円のレンジで推移」
高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)
日経平均株価は4月に比較的順調な上昇をみせ、東京市場が10連休中の海外株式市場もほぼ無風状態と思われたが、トランプ米大統領が5日に、ツイッターで対中国の追加関税を10日にも10%から25%へ引き上げると表明したことから、米中貿易摩擦への警戒感が一気に高まり、日本の5月相場は波乱のスタートを余儀なくされた。
当然のことながら、米中貿易摩擦自体は短期間に結論が出るものではなく、両国のあいだで論議が継続するとの認識が市場関係者にあったものの、一方でとりあえず何らかの妥協点が見出されるのではとの期待感が高まっていただけに、実際に米国が10日から追加関税の引き上げに踏み切る場合には、上値が重くなるなど株価へのマイナス影響は避けられそうもない。
佳境を迎えている米国企業の決算発表内容を見ると、事前のアナリスト予想が保守的ということもあってか、80%弱の企業で市場予想を上回る結果となっている。ただ、実際の予想EPS(1株当たり利益)を見ると、ほぼ横ばい予想にとどまっている。したがって、過去最高値圏で推移しているS&P500種指数が、短期間で一気に3000ポイントを突破することは考え難い。ただ、現状の米国経済指標は、労働市場が好調を持続している割にインフレ圧力は乏しく、株価にとって“適温状態”にあることは確かだ。
米国株の大崩れがなければ、今後1ヵ月間の日経平均は、200日移動平均線を一時的に割り込む場面があっても、ほぼ2万2000~2万3000円のレンジでの推移となりそうだ。今後の物色対象としては、決算発表期間中は好業績見通しの中小型株に関心が向くことになりそうだ。その後は、全体相場の調整や外国為替市場の円高進行で下落を強いられ、値ごろ感の増してきた半導体関連や機械セクターに注目が集まりそうだ。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース