すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 御発注さんの場合-第1回
毎年秋に「勝負銘柄リスト」をつくり、相場下落の買いチャンスをじっくり待つ
登場する銘柄
共和コーポレーション<6570> 、キリン堂ホールディングス<3194>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
サラリーマン投資家で、必死の節約で貯めた約100万円を元手に2002年から投資開始。投資スタイルは銘柄数を絞ったバリュー株狙い。もはや趣味と化している筋金入りの節約生活と銘柄選びの段取りがユニークなのが特徴。誤発注事件で大損した経験を糧に、投資スキルをさらにパワーアップさせ、現在の金融資産は約3億円。
今回スポットを当てる御発注さん(ハンドルネーム)は、ユニークな投資ルールで、約100万円の元手を3億円に拡大させたサラリーマン投資家さん。目を見張るのは独特の投資スタイルに限らず、「節約業が本業なのでは?」と思うほど体の髄まで身についた節約術に長けた生活スタイルもある。実際、節約を意識した生活は小学生以来と言う。こんな御発注さんのユニーク投資術&節約術などを4回にわたり紹介していく。
気になるハンドルネームは、想像通りある銘柄を誤発注して200万円の損失を被ってしまったことを戒めとして採用したもの。その詳細は今シリーズの3回目に紹介するが、致命的な損失を被ってはいないものの、その出し方を問題にして二度と忘れないように意識して使っているところに、御発注さんの人となり、そして投資に対する態度が表れている。
将来の成長を織り込むと「PER5倍以下」に下がる銘柄を狙う
では主題の投資スタイルについて紹介しよう。その手法は将来の収益の伸びを見込んで、そこから換算した企業価値に比べて、現在は割安水準だと思う銘柄に着目する「収益バリュー」型だ。
同様のスタイルは当コラムに最近登場したuki5496さんやDAIBOUCHOUさんも採用している。
御発注さんの考え方としては、バリュー投資をベースに図のような「バリュー」「グロース」「カタリスト(株価を上げる材料)があるか」「高配当・魅力的な優待」「テーマ・時流に乗っている」の5項目を重視。投資効率を上げるために、これらをより多くカバーし合う銘柄を優先的に選ぶよう心掛けている。
■御発注さんが銘柄選びで重視する5項目
ただし、御発注さんならではのやり方としてもっとクローズアップすべきは、
① | 分かりやすくルール化された銘柄選び、 |
② | 売買実行の段取り、 |
③ | 現金比率の調節法 |
――になる。
それぞれの特徴を挙げると、
①については、年に1度、10月頃に「勝負銘柄リスト」を作成 |
②については、売買は「逆張り」で、買いは相場暴落時、売りは相場過熱時に実行 |
③については、現金比率は「順張り」思考で調節し、移動平均線で判別 |
――となる。詳しい内容は、最近注目している2つの銘柄選びのプロセスと合わせて深掘りしていく。登場するのは、共和コーポレーション<6570>(以下、共和コーポ) 、そしてキリン堂ホールディングス<3194>(以下、キリン堂)。2つの銘柄とも、FRB(米連邦準備理事会)の利上げショックなどで、日経平均株価が高値から20%以上もの大幅調整をした2018年の12月に買い出動した。
■共和コーポレーション<6570>の日足チャート
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」
■キリン堂ホールディングス<3194>の日足チャート
それぞれの銘柄を候補にした理由を見ていこう。
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