大谷正之氏【日経平均2万1000円回復! 相場は変わったか?】(3) <相場観特集>
―6月相場は好調、米国株の戻り足急でリスクオン再び―
週明け10日の東京市場は日経平均株価が続伸。米国株が急速に切り返しに転じていることを受け、リスク選好の流れが波及している。5月相場は調整色の強い展開を強いられたが、6月相場は一転して買い戻しのタームに入ったようにも見える。もっとも外部環境を見る限り、株価が買われる必然性が担保されているとはいえず、投資家としても気迷う場面だ。ここからの相場展開や物色の方向性について、相場の機微に通じたベテラン市場関係者に意見を聞いた。
●「戻り試す展開で2万2000円も射程圏に」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
東京株式市場は、先週4日につけた日経平均の安値2万289円64銭を底に戻り歩調に転じたと見ている。18年12月26日の安値から4月24日の高値までの上昇幅3414円に対して、その高値から今月4日の安値までの下落幅は2073円で、黄金比の0.618にほぼ対応していることからも反転上昇の可能性が強い。今後1ヵ月程度先までの日経平均は、当面のフシ目となる2万1400円を突破してくれば、2万2000円台乗せも射程圏に入りそうだ。
今月末に大阪で開催される主要20ヵ国・地域首脳会議(G20)まで紆余曲折は予想されるものの、米株式相場は利下げ期待が先行する金融相場のなかで、比較的堅調な推移となりそうだ。焦点はG20での米中首脳会談だが、トランプ米大統領は来年の再選に向けて、7月4日独立記念日のイベントで記念演説を予定しており、このタイミングに合わせて、中国にやや貸しを作るかたちで貿易交渉にある程度の道筋をつけることも想定される。
個別銘柄では、まず任天堂 <7974> に注目している。米ロサンゼルスで11日(日本時間12日)に開幕する世界最大級のゲーム見本市「E3」での同社のカンファレンスに注目が集まる。また、株価チャート面では、比較的長期間で見た場合の上値抵抗線を突破しており、年初来高値の4万340円を上回ると新たな上昇トレンドを迎えることになる。
二つ目は新光電気工業 <6967> の戻り相場に期待したい。主力商品のICパッケージは量産効果が奏功して、20年3月期の業績は好調な推移が予想される。チャート面では、直近で26週移動平均線を下値支持線として反発し、13週移動平均線を上回る強調展開となっている。三つ目は、Wi-Fiルーターレンタル事業の成長が著しいビジョン <9416> に注目したい。空港での海外向けモバイルWi-Fiレンタル事業が急拡大をみせている。株価は、13週移動平均線をサポートラインとして上昇軌道を順調に堅持している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース