米国株式市場見通し:米中首脳会談やイラン情勢を注視
連邦公開市場委員会(FOMC)を終えて、7月の利下げが確実視されている。声明文には年内のインフレ率が当局の目標を大きく下回るとの見通しが示され、経済成長に不透明感が広がりつつある。今週予定される米中首脳会談が成功し、不確実性が後退するだけでなく、製造業景況指数や雇用統計などの主要経済指標が予想を大きく上振れ、景気の持ち直しが見られない限り、利下げ不要の議論は起こらないだろう。28-29日に開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて米中首脳会談が開催される予定だ。中国が会談に応じたことや、複数の米企業が追加の対中関税計画に反対姿勢を示しており、交渉の進展が期待される。包括的な合意に至ることが難しいとしても、会談後は通商協議の継続と追加関税の延期が発表され、株式相場も好感すると予想する。一方で、イランが米無人偵察機を撃墜したことを受けて、両国の緊張が高まっている。トランプ大統領は一度承認した軍事攻撃を撤回したことを明らかにし、協議の意向を示した。24日に国連安全保障理事会で緊急会合が開催される見通しで、予断を許さない状況が続くだろう。
個別企業では、半導体のマイクロン・テクノロジー(25日)、住宅建設会社のレナー(25日)、運輸・宅配のフェデックス(25日)、食品のゼネラル・ミルズ(26日)やコナグラ・ブランズ(27日)、ドラッグストアのライトエイド(26日)やウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(27日)、スポーツ用品のナイキ(27日)、アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(28日)などの決算発表が予定されている。ナイキの決算では、アディダスやルルレモンとの競争が激化するなか、北米地域の業績改善が継続しているかに注目したい。
経済指標では、5月シカゴ連銀全米活動指数(24日)、5月新築住宅販売件数(25日)、6月消費者信頼感指数(25日)、5月耐久財受注(26日)、1-3月期GDP確定値(27日)、5月個人所得・支出(28日)などの発表が予定されている。5月の消費者信頼感指数は市場予想以上に上昇したものの、6月は米中貿易摩擦による関税引き上げの影響が表れる可能性もあり注意が必要だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ