藤代宏一氏【G20大阪サミット接近、7月相場の急所を読む】(2) <相場観特集>

特集
2019年6月24日 19時45分

―2万1000円ラインで強弱感対立、相場の向かう先は―

東京株式市場は狭いレンジでのもみ合いが続いている。日経平均株価は5月相場の急落から6月は完全に立ち直った形だが、その余勢を駆って一段の上値を目指すという展開には発展していない。売買代金は2兆円に届かない日が多く、今の市場エネルギーでは2万1000円台を駆け上がり、2万2000円を目指すというビジョンは描きにくいようだ。7月相場では全体ムードも梅雨明けに向かうことを期待したいところ。プロの目にはどう映っているのか。先読みに定評のある市場関係者2人に相場の見通しと物色の方向性について意見を聞いた。

●「日経平均2万2000円突破も、金融相場が継続」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

東京株式市場は当面、金融相場による堅調な展開が続くことを予想している。今後、1ヵ月程度の日経平均のレンジは2万500~2万2000円前後。トレンドは上向きで、状況次第で2万2000円突破も期待できるだろう。

米国は7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切ることが予想され、場合によっては追加の利下げを示唆する可能性もある。金利低下基調が続くなか、資金が向かうのは株式などのリスクアセットだろう。

足もとの経済情勢は弱含みの状況にある。7月1日に発表される米6月ISM製造業購買担当者景気指数は50割れもあるかもしれない。ただ、市場は軟調な景気指標を、米国の利下げ期待に結びつけることが予想される。

今週末のG20大阪サミットに合わせて開催される米中首脳会談が注目されるが、ネガティブサプライズがなければ、市場には大きな波乱はないとみている。米国は中国に対して第4弾の追加関税を課す可能性はあるが、市場の関心は「適用除外」へと向かい個別企業への影響が注目されるようになる可能性がある。

イラクに対する緊張は高まっているが、影響は原油市場にとどまり、全体相場を左右するまでには至らないだろう。

為替は1ドル=107円前半で推移しているが、現状程度の円高水準なら、日本企業の業績に与える影響はそれほど大きくはないとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)

第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

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