新興市場見通し:イベント通過も需給悪化で銘柄選別色、IPOはフィードフォース
先週の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数、日経ジャスダック平均ももみ合いとなった。個人投資家のマインドや資金余力はやや低下しているとみられ、週末の米中首脳会談の結果を見極めたいとの思惑もあって、中小型株物色はさほど活発とはならなかった。6月末にかけIPOラッシュが続いたが、初値形成後に値を崩す銘柄が相次ぐなど、全般に資金の逃げ足は速い印象だった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.1%であったのに対して、マザーズ指数は+0.4%、日経ジャスダック平均は+0.5%だった。
個別では、マザーズ時価総額トップのメルカリ<4385>が前の週末から変わらず。そーせいグループ<4565>は週間で8.9%高、サンバイオ<4592>は同4.8%高と堅調だった。しかし、業績予想の修正と新中期経営計画を発表したティーケーピー<3479>が材料出尽くし感から同12.7%安となり、ラクスル<4384>も同12.7%安と下げが目立った。売買代金上位ではモルフォ<3653>が自動運転関連などとして買われ、シェアリングテクノロジー<3989>が週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、インパクトHD<6067>などは売りに押され、上場廃止の猶予期間入りしたフルッタフルッタ<2586>が下落率トップだった。ジャスダック主力は日本マクドナルドHD<2702>が同1.2%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同2.0%高と高安まちまち。売買代金上位ではインドでの車載用スピーカー増産を発表したオンキヨー<6628>が活況となり、米社とのライセンス契約締結などを発表したカルナバイオサイエンス<4572>が連日のストップ高となった。反面、業績修正を発表したオプトエレクトロニクス<6664>が下落率トップだった。IPOでは5社が新規上場し、やや大型だった新日本製薬<4931>を含め、いずれも公開価格を上回る初値形成となった。インフォネット<4444>とリビン・テクノロジーズ<4445>は公開価格の2倍以上に初値を伸ばした。
今週の新興市場では、重要イベントを無難に通過し、安心感から買いが先行しそうだ。注目された米中首脳会談では、通商協議の再開で一致し、米国は新たな対中制裁関税を課さない方針を示したもよう。週明けはこれまで様子見姿勢だった個人投資家の資金流入が期待される。ただ、株式市場全体として不透明要因はなお多いため、個人投資家が積極姿勢に一気に傾くとも考えづらい。
マザーズ銘柄には、IPOラッシュだったここ2週間で値を崩したものも多い。これら銘柄は戻りがやや鈍く、需給面で銘柄選別する動きが強まる可能性がある。株価の上昇トレンドが続くそーせいグループなどは買いを集めやすいだろう。底入れ感から戻りを試すシェアリングテクノロジーなどにも注目したい。なお、今週は7月1日に地域新聞社<2164>、5日にイーサポートリンク<2493>などが決算発表を予定している。
IPO関連では、7月5日にフィードフォース<7068>がマザーズへ新規上場する。同社はデータフィード事業等を展開しており、インターネット関連のマザーズ上場案件として事前の期待は高いようだ。公開規模も比較的小さく、初値を飛ばしそうだ。なお、先週はブシロード<7803>(7月29日、マザーズ)とツクルバ<2978>(7月31日、マザーズ)の新規上場が発表されており、7月のIPOは5社となっている。
《FA》
提供:フィスコ