好業績続く小型株、20年3月期【連続増収増益】リスト 27社選出 <成長株特集>

特集
2019年7月4日 19時58分

株探では3月期決算企業の決算発表が出そろってから、これまで20年3月期に最高益を見込む企業にスポットライトを当てて<成長株特集>を配信してきました。本特集では最高益リストからは外れたものの、20年3月期に連続で増収増益を達成する見通しを示している成長企業を探った(7月4日現在)。

下表では、6月27日に配信した時価総額400億円以上の銘柄を対象とした「好調継続の20年3月期【連続増収増益】リスト」に続き、時価総額100億円以上400億円未満の企業(最高益銘柄を除く)を対象に、20年3月期に連続で増収増益を見込み、かつ経常利益が7%以上伸びる計画を立てている27社を選び出し、増益率が大きい順に並べた。

増益率トップとなったのは総合紙パルプメーカーの中越パルプ工業 <3877> 。足もとでは紙需要の低迷が続くなか、バイオマス燃料発電を中心とする発電事業が利益柱となっている。20年3月期は紙製品の値上げ効果で採算が大きく改善し、経常利益は前期比16.5倍の20億円に拡大する見通しだ。同社は軽量、高強度の特性を持つ植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の開発に注力しており、脱プラスチックへの関心が高まるなか、関連銘柄として注目を集める。直近では5月に高機能CNFの量産に向けたパイロット工場を建設すると発表。21年4月の稼働開始を目指す。

2位のJALCOホールディングス <6625> [JQ]は不動産賃貸事業で前期に取得した商業施設やパチンコホール企業向け物件が通期寄与し、20年3月期は売上高が前期比51.1%増の17.5億円、経常利益は同2.3倍の10億円と2期連続の業績高変化を見込む。また、3位に入った海洋土木大手の東亜建設工業 <1885> は豊富な手持ち工事や工事採算の改善で、前期赤字だった海外事業の業績が回復し、20年3月期の経常利益は前期比54.7%増の61億円に拡大する計画だ。

5位の日本製鉄系電炉大手の合同製鐵 <5410> は東京五輪関連工事や首都圏再開発など旺盛な建設需要が追い風となるほか、3月に買収した朝日工業 <5456> [JQ]とのシナジーなどもあって、20年3月期の売上高は前期比28.1%増の1900億円、経常利益は同36.3%増の70億円に伸びる。業績好調と配当性向の引き上げを踏まえ、今期の配当は前期比45円増の115円に大幅増配する計画だ。配当利回りは5.35%と高水準で株主還元の切り口でも魅力が高い。

6位に入った使い捨て医療器具メーカーのジェイ・エム・エス <7702> は19年3月期に経常利益が前の期比85.4%増の15.2億円に膨らんだ。シンガポール子会社で北米向け成分献血用回路の販売が好調だったうえ、為替のプラス効果なども寄与した。また、国内では新型の血液透析装置や摂食嚥下関連用品が伸びた。続く20年3月期の同利益は前期比31.6%増の20億円と10年ぶりの利益水準に回復を見込む。株価は13年5月以来、約6年2ヵ月ぶりの高値圏を走っている。

8位の朝日ネット <3834> は「ASAHIネット」を運営する独立系のネット接続大手。20年3月期は前期に引き続き法人向け光接続サービスやマンション一括契約の販売を強化する。今期経常利益は前期比25.3%増の16億円を見込み、12年3月期に記録した最高益17.1億円を視界に捉える。決算と同時に最大10.8億円の自社株買いを実施すると発表するなど、株主還元にも積極的だ。株価は6月に入ってから騰勢を強め、7月1日に上場来高値748円をつけている。

19位にリストアップされた建設用機材大手、タカミヤ <2445> の20年3月期は旺盛な建設需要や建設現場での安全基準の高まりを背景に、次世代足場「Iqシステム」を中心に仮設機材の販売とレンタルが伸び、2期連続の増収増益を計画する。株価は15年5月以来、約4年2ヵ月ぶりとなる800円台に上昇している。

21位の東邦システムサイエンス <4333> と23位のブックオフグループホールディングス <9278> の株価も力強い上昇をみせており、青空圏を走る展開が続く。金融系に強みを持つソフト開発会社の東邦システムサイエンスは、足もとで通信会社向け基盤系システムの保守やAI開発案件が拡大しているほか、メディア系業務の受注が増加傾向にある。20年3月期の経常利益は前期比9.4%増の11.3億円に伸びる見通しだ。好業績のIT関連銘柄として物色人気を集めたほか、光通信 <9435> が同社株を買い増し筆頭株主に浮上したことも注目され、4日の株価は一時ストップ高の1358円まで買われる場面があった。

中古書籍販売最大手のブックオフGは新規事業のコスト負担などで16年3月期に最終赤字に陥ったが、足もとでは業績急回復に転じている。19年3月期はリユース店舗の既存店売上高が12ヵ月連続で前年実績を上回ったほか、ブランド買取「ハグオール」事業で前の期に不採算事業から撤退した効果も加わり、経常利益は前の期比94.1%増の21.2億円に拡大した。今期の同利益は前期比8.5%増の23億円と4期連続の増益を目指す。株価は18年10月1日の持ち株会社制移行後の最高値を連日更新している。

    ┌ 経常利益 ┐   ┌ 売上高 ┐  増収増益 予想

コード 銘柄名    増益率 20年3月期 増収率 20年3月期 連続期数  PER

<3877> 中越パ     1553   2000   4.4  101000    2  20.2

<6625> JALCO    131   1000  51.1   1750    2  20.6

<1885> 東亜建     54.7   6100   5.9  184000    2  9.3

<4651> サニックス   53.1   1810   0.4   50900    2  8.1

<5410> 合同鉄     36.3   7000  28.1  190000    2  5.7

<7702> JMS     31.6   2000   3.3   60000    2  12.7

<6675> サクサ     30.3   2500   3.3   41000    2  11.6

<3834> 朝日ネット   25.3   1600   7.8   10500    2  17.3

<6820> アイコム    23.1   3330   6.1   31500    3  15.0

<2831> はごろも    17.8   2200   0.6   80400    2  16.7

<9629> PCA     17.4   1499  11.7   12783    5  22.5

<3356> テリロジー   13.5    260  12.8   4130    3  83.1

<1938> 日リーテック  12.7   5450   2.6   59000    2  9.9

<2882> イートアンド  12.4    897   4.2   30400    5  47.4

<9850> グルメ杵屋   11.3    830   0.4   41198    3  54.7

<4761> さくらKCS  10.7    660   4.8   23000    2  23.9

<2676> 高千穂交易   10.5   1200  11.1   22100    3  11.7

<4987> 寺岡製     10.5   1510  10.4   26000    3  10.7

<2445> タカミヤ     9.7   2920   6.0   44700    2  18.3

<2372> アイロムG    9.6   1300  22.9   13000    4  19.3

<4333> 東邦システム   9.4   1136   5.5   13500    2  18.9

<7949> 小松ウオール   8.5   3330   4.5   36200    3  7.6

<9278> ブックオフG   8.5   2300   2.7   83000    2  16.8

<3166> OCHIHD   8.0   2300   5.1  110000    2  10.9

<7600> 日本MDM    7.8   2380   8.8   18200    7  22.6

<8041> OUGHD    7.8   2700   1.5  330000    2  8.2

<6082> ライドオンE   7.7   1162   1.5   20820    2  17.6

※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前期と比べた増加率、単位は%。

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