明日の株式相場戦略=地合いが味方する個別株に着目

市況
2019年7月10日 17時31分

きょう(10日)の東京株式市場は方向感が定まらず、日経平均は前日終値をまたいでプラス圏とマイナス圏を行ったり来たりする展開に終始した。右往左往したのち、結局、引け際にドスンと大口の売りが出て前日終値を下回って着地した。パウエルFRB議長の下院での議会証言を見極めたいとの思惑が錯綜し、模様眺めムードが強かった。ただ、約3000億円とも試算されるETFの分配金捻出に伴う売り圧力が生じていたことを考慮すれば、想定以上に底堅さを発揮したともいえる。日経平均31円安は前日とプラスマイナスを入れ替えただけの微動。すべてはあす(11日)にバトンを渡す形となっている。

そうしたなか、個別株で話題となっているのが安川電機<6506>。決算発表を絡め中国関連株のバロメーターのような位置づけでマーケットの視線を集めるのは毎回のことだが、その同社の19年第1四半期(3~5月)決算があすに発表される。米中摩擦による影響が受注動向などにどういう数字で反映されるか。そして、第2四半期以降の見通しについて、これは経営者側の胸三寸に委ねられた部分もあろうが、投資家サイドは固唾を呑んで見守ることになる。

同社の株価は上下どちらに振れるのか。市場関係者の声を聞いても意見が分かれている。事前に織り込みが進んでおり、ガイダンスリスクは限定的とする見方がある一方で、中国の実勢経済の減速と相まって低調な業績が開示されれば改めて25日移動平均線を下放れるという弱気な声が聞かれた。テクニカル的にも一目均衡表の雲の中に再び沈んだところで正念場だ。ただ、同社株の直近7月5日申し込み現在の東証信用残は、信用倍率1.0倍とまさに売り買いが拮抗しており、踏み上げモードのスイッチが入るほうに1票を投じたいところではある。強弱観対立のまま株価が横這うというケースもゼロではないが、同社の株価のベクトルの向きが、周辺の中国関連株の動きにも影響するとなると、メディアなど市場関係者にとってもあすの決算発表は結構大きなイベントといってよい。

もっとも、安川電の決算の影響を受けない距離で個人投資家は戦うことができる。流れに乗っている銘柄につくことが大切。例えば、いい銘柄なのに上がらないということが往々にしてあるが、それは地合いが味方していないからだ。どんなにいい種であっても、個別銘柄が花を咲かせるかどうかは「土」であるその時の相場の地合いによって決まる。とすれば、今の東京市場は主力株は手掛けにくくても、材料株にとっては花が育ちやすい土壌といえる。チャート的にも、売り物を枯らして切り返しトレンドにようやくエンジンがかかってきた銘柄が増えている。

きょうはマザース指数が強さを発揮したが、こういう時はバイオ関連株の動きを見ると合点がいく。AI・IoT周辺に展開するシステム開発関連株と並行して資金が向かった。注目すべき銘柄は多いが、手堅いところでは遺伝子組み換えヒト成長ホルモン製剤、間葉系幹細胞を使った細胞医薬品などで強固な収益基盤を持ったJCRファーマ<4552>。また、競馬に例えて一瞬の変わり身に期待するならDNAチップ研究所<2397>あたりか。

このほか、ここ動きが良くなっている北の達人コーポレーション<2930>や、300円台前半のもみ合いを上に放れそうなFIG<4392>などもマークしたい。FIGはバスロケーションシステムが需要を捉えており、8月初旬に予定される今12月期中間決算発表に期待が大きいようだ。

日程面では、あすは6月のオフィス空室率、6月の投信概況。海外では6月の米消費者物価、6月の米CPI、米30年国債の入札などが予定されている。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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