「AI人材バブル」が来る――究極の大相場が待つ“特選5銘柄” <株探トップ特集>

特集
2019年7月20日 19時30分

―AIとの共生で新たな扉が開く、人材関連の大化けステージ第2章が開幕―

7月第3週の東京株式市場はボラティリティが一気に高まった。18日に日経平均株価は400円を超える下落で一時フシ目の2万1000円台を割り込む下げに見舞われたが、翌19日は週末にもかかわらず前日の急落を帳消しにする戻り足をみせ、大山鳴動して鼠一匹、結局2万1400円台と元の位置に戻って着地する展開。2000銘柄を超える全面安から2000銘柄を超える全面高へ、閑散商いのなか先物絡みで人工知能(AI)を活用したアルゴリズム売買に翻弄された2日間だった。他のアジア株市場をみれば値動きは落ち着いたもので、日本だけが局地的な嵐に見舞われた格好だ。

●AIに翻弄される株式市場の人気投資テーマはAI

現在の東京市場は全体売買に占めるAI取引の割合が約半分とも7割ともいわれ、いずれにせよ極めて高い比率を占めている。しかし、株式投資とは元来、夢を買うもの。有力な成長テーマに乗って業績を伸ばす企業を買うのが、投資戦略の醍醐味でもある。

皮肉というべきか、いま株式市場ではテーマ買い対象としてAI関連株の一角に再びマーケットの視線が向かっている。自動運転車ドローンといった新たな成長市場や、金融や情報通信、医療・バイオなど幅広い業界で、AIは飛躍的進化をもたらす魔法の杖となる。また、少子高齢化が加速的に進む日本において、成長力維持のカギを握るのは生産性革命。安倍政権が重視するその生産性革命においてもこの魔法の杖が威力を発揮する。

●AIを扱う人材に対する企業のニーズが急拡大

そして、ここにきてAIを扱うデータサイエンティストなど先端IT人材に対する企業のニーズが急拡大しており、これが株式市場でも新たな投資テーマとして存在感を高めている。国内の大手IT企業が優秀なIT人材の囲い込みに動き出しているのだ。構造改革を進めるNEC <6701> では、国内で3000人規模の人員削減を行うなど合理化に踏み込んでいるが、一方で、今年10月から優れた実績を有する人材であれば、新入社員であっても年収1000万円超えを達成できる制度を導入することが伝わっている。これは明らかに優秀なIT人材の囲い込みを意識した経営戦略で、既にこれに先駆けてソニー <6758> やNTTドコモ <9437> などをはじめ、賃金水準引き上げなどによるハイスキルな人材の争奪戦が行われている。

企業のIT投資意欲が旺盛なのは、業務効率化で人手不足を補う目的が背景にあるが、この需要をビジネスチャンスとして捉える側も、需要に対応したIT系人材をいかに確保するかに頭を悩ませている。これまで、システム構築・運用などを行うシステムインテグレーターや大手のIT系開発部門が採用していたIT人材だが、最近は一般企業も採用拡大の動きを強め、競争が激化している。いうまでもなくIT系人材不足は顕著であり、経済産業省の調査によると2016年の時点で既に17万人足りない状況にあった。しかし、これが30年になると不足人数は最大で約79万人に達すると試算されている。

●テンバガーでは済まない大化け株の宝庫

今後はビッグデータやAIに精通した“先端IT人材”の不足がより深刻になるとみられており、新たな人材バブルを生む可能性が高まってきた。これをテーマに株式市場でも新しい切り口でAI周辺銘柄に着目する動きが強まっている。

ここ数年来のマーケットを顧みると、アベノミクス相場に入ってから目を見張る株価変貌を遂げたのは人材サービス関連株に多い。例えば製造業向け人材派遣を手掛けるアウトソーシング <2427> は18年7月に株式分割後修正値で最高値となる2483円をつけているが、そこから6年さかのぼった12年7月時点では60円前後に過ぎなかった。6年で株価は40倍とテンバガーでは済まない大化けを果たしている。また、求人サイト運営のディップ <2379> の最高値は昨年4月につけた3620円(分割修正後株価)だが、12年7月の時点では50円前後。こちらは何と5年半で72倍になっているのだ。

こうした銘柄群と同じような現象が「AI人材関連」に“これから”起こり得る可能性は否定できない。今回は、究極の大相場に向けた夢を携え、スポットライトを浴びる5銘柄を厳選エントリーした。

●これから大相場に向かう新章突入の5銘柄はこれだ

【メンバーズはデータサイエンス領域で飛躍秒読み】

メンバーズ <2130> の2000円近辺でのもみ合いは買いで対処。5月30日に上場来高値2112円をつけているが、この水準で頭打ちとなる可能性は極めて低い。早晩2000円台後半に向け漸次水準を切り上げ、3000円台を視界に捉えるスケールの大きい相場に発展する可能性を内包している。

企業のWebサイトのデザイン制作やデジタルクリエーター人材の派遣などネット支援ビジネスを手掛ける。AI時代の本格到来に合わせ人材確保が急務となるなか、同社はいち早く先端IT人材の育成に力を注いでいる。100%子会社として傘下に置くメンバーズデータアドベンチャーは、データサイエンス領域に特化した人材派遣ビジネスを展開する会社として収益成長の原動力となる。データサイエンスに対する企業のニーズはうなぎ上りとなっており、この好機を逃がさず、新規顧客開拓にも積極的な姿勢で取り組んでいる。同社の充実した研修制度は高評価が定着しており、優秀なIT人材の囲い込みが今後一段と進みそうだ。業績も高水準の伸びが続く。営業45%増益を達成した19年3月期に続き、20年3月期は29%増の12億4600万円を計画、更に21年3月期以降も20%以上の高成長トレンドが続く公算大。

【ソーバルは大相場素地、昨年の急騰劇の再演期待】

ソーバル <2186> [JQ]は1200円近辺でのもみ合いを離れ、大相場を形成する素地を持っており要注目だ。通常は薄商いだが、昨年6月には一時50万株近い商いをこなし2280円の高値まで駆け上がった実績がある。今年4月に動意づき4ケタ大台を回復したが、潜在的成長力を考慮すればこれは大出直り相場の初動と捉えられる。

同社は組み込みソフトの受託開発と技術者派遣を収益の2本柱としており、AIやIoT分野に経営の重心を置き、企業のIT投資意欲を取り込んでいる。キヤノン <7751> 向けを主力とするが、ソニー、富士通 <6702> などの大手IT企業を顧客基盤として開拓しており、中期成長期待が高い。更に富士通などと連携を強化しAI人材育成でも協業、M&Aを含めた業容拡大に積極的だ。足もとの業績も好調に推移している。今20年2月期第1四半期(3-5月)の営業利益は前年同期比17.3%増の1億9300万円と好調で通期計画の6億3000万円は上振れる可能性が高い。株主還元姿勢にも抜かりなく、今期配当は前期実績比3円増配の30円、現在進行形で自社株買いに取り組んでいる点もポイントとなる。

【セラクはAI・IoTのデパート、上昇本番へ】

セラク <6199> の上値に期待したい。時価は年初来高値近辺にあるが、17年以降の2年半の相場の軌跡を見れば、今は底入れ転換の緒に就いた段階。ここから中長期で上げ潮に乗る可能性が高く、当面の上値目標は17年3月につけた高値1354円。目先の押し目は強気に狙っていきたい。

ITインフラ構築やWebマーケティングを手掛ける。企業が積極的に投資を進めるクラウド分野に注力するほか、IT系人材を社内で育成し派遣するビジネスに取り組んでいる。更にITエンジニアの人材流動化が加速している現状を踏まえ、IT人材紹介ビジネスにも踏み込む。継続的に年間1000人のIT技術者養成を目指すプログラム「テクトレ」も開講している。サイバーセキュリティーやAIを活用したデータサイエンス、RPA分野などにも積極的に展開。農業のIT化では「みどりクラウド」を全国展開し、ビッグデータを活用した新サービス開発にも着手している。まさにAIとIoTのデパートのような会社で成長余地は大きい。19年8月期営業利益は前期比33%増の7億2000万円を見込むが、20年8月期も時流に乗って2ケタ伸長が有望だ。

【エスユーエスは開発系派遣とコンサルで高成長】

エスユーエス <6554> [東証M]の650~750円のもみ合いは買い好機、押し目買いで妙味大だ。2月末には1218円の高値を形成、成長力は申し分なく早晩この株価水準が視野に入ってくることになろう。

同社は大手メーカーやシステムインテグレーター向けに旺盛な需要がある開発系のIT技術者を派遣。また、好採算のシステムコンサルティングサービスでは、SAPをはじめ大規模基幹システムで重要視されるIT基盤の統合・再構築で実力を発揮している。ビッグデータ普及を背景としたAIやIoT関連の求人需要は、同社に力強い追い風となっているが、そのなか大手企業の新卒採用試験向けに開発したAIマッチング採用管理ツール「SUZAKU」が戦略商品として収益に貢献している。同商品は昨年7月から本格的に拡販を進め受注を獲得しており、今後も成長ドライバーとして期待を担う。業績はトップライン、利益ともに高水準の伸びを継続、18年9月期営業利益は前の期比34%増の5億5100万円を達成、19年9月期も6億600万円予想と2ケタ伸長を見込み、一段の上振れ余地がある。更に20年8月期も20%前後の高成長を続ける公算が大きい。

【ギークスはフリーランスIT人材で実力発揮】

ギークス <7060> [東証M]は6月下旬以降大きく株価水準を切り下げたが、売りが一巡し底入れ反騰の初動に向かいそうだ。今年3月に東証マザーズに鳴り物入りで上場、公開価格の1.5倍で初値を形成した後、同日にストップ高に買われるロケットスタートを決め、4月2日には5430円の高値をつけた。その後は調整局面に移行したが、時価は高値圏から4割以上もディスカウントされた位置にある。もちろん中期的な業績拡大に向けたビジョンに変化はなく、見直し買いが濃厚だ。

IT人材は社員として囲い込む従来の形ではなく、フリーランス市場が拡大する傾向が強まっている。そうしたなか、同社はフリーランスのIT人材を企業とマッチングさせる仲介ビジネスを手掛けるという点で、これまでにない独自の成長シナリオを持つ。Webやアプリなどの開発技術を有するフリーランスの累計登録者数は約1万5000人にのぼる。このほか、受託に特化したゲーム開発事業も展開し収益に貢献しており、ヒット作運営のノウハウを強みに需要取り込みが進みそうだ。19年3月期は営業利益段階で前の期比46%増の5億5200万円と急拡大、20年3月期も前期比18%増の6億5000万円と大幅な伸びを確保する見通し。

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